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はてなダイアリーで書き殴っていた自動車に関する放言記事を1つのブログにまとめました。

輸入車ブランドはつらいね・・・。

 何かを仕掛けなければこのまま敗退。しかし付け刃のパッケージのクルマで仕掛けても成功の見込みはわずか・・・いや絶望的なレベル。そんなタフな状況の中でも日本市場に踏みとどまる輸入ブランドには素直に敬意を払うべきだ!・・・そんなようなことをずっと前から超カリスマライターの小沢コージさんは言ってましたっけね。今となっては誰の眼にもハッキリした状況でしたが、世間が「新型ゴルフはいい!!」とかバカ盛り上がりしていた頃から、今日の事態を見抜いていたわけですから、その素晴らしい洞察には恐れ入ります。

  輸入車に立ちはだかる「日本車の壁」が確実に一段と高くなったのが、昨年(2015年)末に発売された4代目プリウスだと思います。今年は1月から販売台数で軽自動車をも圧倒する売れ行きです。今年は完全にプリウスの1年になり、来年は新たにC-HRの年になるのではないかと予測されています。これまで良くも悪くも日本車のガラパゴスな特色を最も良く体現していたシリーズが、いきなり輸入車を蹴散らすような強烈なダイナミクスシャシーを履くようになったのには驚くです。いくらなんでも「ロックオン」し過ぎじゃないのか。これでは輸入車が日本で販売される理由が無くなってしまうよ(10年以上前から無かった!?)。いよいよトヨタもグローバルモデルで国内も展開するようになったから仕方の無いことではありますが・・・。

  改めて輸入車の魅力ってなんなのだろう? 評論家はそれぞれに語るわけですが、どうも決定力不足な感が否めません。「日本車の圧倒的な機能性の前に押され気味」という暗黙の了解が根底に横たわっていて、どうもこうも文章が縮み上がっているように感じます。輸入車の価値をしっかりと定義ができる能力のある評論家が足りてないという深刻な問題があります。「輸入車擁護論」がそれなりに展開されないことには、クルマに詳しくないユーザーは購入にはなかなか踏み切れないと思います(知らぬが仏という言葉もありますが)。もっとも一般ピープルがなかなか手が出せないところに「位置」しているのが、輸入車の価値なのかもしれないですけども・・・。カリスマのオザーさんも「輸入車がピンチ」なことは的確に予測しているのに、クルマの中身については到底「輸入車を救う」どころか全く頼りにならないです(失礼)。

  2012年にトヨタは新しいスポーツカー「86」を発売し、それに先立って多額の広告費を計上してスポーツドライブの魅力を徹底的に宣伝しました。トヨタが「86」に関してカーメディアには頼らずに積極的にセルフプロモーションを仕掛けたのは納得で、もともと需要の無いクルマを拡販するという「無理ゲー」なミッションを、広告媒体に丸投げしたところでカネをどぶに捨てるようなものかもしれません。市場が拡大しにくいクルマを売るには、圧倒的な「想像力」を持ったクリエーターによる特別なプロモーションが必要だと思います。トヨタが持てる資金を投入し自ら全精力を傾ければ、これまでに無いような企画が何本も立つでしょうから、今回のように見事に多数の86ユーザーを獲得することに成功しました。ある程度の成功を予期する声もありましたが、現実にもっとも上方の予想に沿った売り上げといえると思います。ただし同じようなプロモーションを輸入ブランドが単独で仕掛けるのはちょっと難しいです。ジャガーも日本人の世界的テニスプレーヤーを登用しましたが、いまいち販売は伸びていないですね・・・想像力の欠如!?

  「じゃあテメーになんかいいアイディアでもあるのか?」・・・うーん無いです。輸入車の本質はやはり合理的な設計・製造にあると思います。中国生産モデルを日本に投入して価格を徹底的に抑える!!というラディカルな決断に至ったインポーターはまだ無いようですが、今時は国産車の内部も中国製パーツで溢れていますし、トヨタやレクサスのエンジンも一部は中国組立です。さらに某ドイツプレミアムブランドも内装を中国に陸揚げして行っています(もちろん提携現地資材メーカーに丸投げ)。なのでいまさら「中国生産車」に反対するのもちょっと違うかなーという気がします。それによって価格が手頃になれば案外に売れるんじゃないかと思います。中国が完全にメーカーにとっての最大市場になっているアウディVW、PSAなどは利益率も販売台数も伸びるでしょうからメーカーもユーザーもWIN-WINなんでしょうけど・・・。

  マツダも技術提供してマツダ車(あるいはその兄弟車)を作る第一や長安を含めれば、かなりの台数にのぼります。なんといっても大人気で初代と二代目のアテンザの生産がまだ継続されていたりします。それを日本に持ってきて売ってくれたらいーのに。まあ経営陣とユーザーがいくらハッピーでも、安易な中国生産車の販売には、日本の自動車産業の広い裾野に関わっている人々からは大反発が出てくるのは当然ではあります。イギリスもイタリアもスウェーデンも国内生産衰退のタームを抜けて、政府主導の挙国体制による自動車産業保護に奔走する時代です。安易な第三国生産(南ア、メキシコ、タイなど)に走らない輸入車メーカー(ジャガーロータスフィアットボルボ、MINIなど)がむしろ日本市場で底堅い人気を見せているようです。結論としては「中国生産車の導入」は一長一短ありですね・・・(リスク大)。

  イギリス、イタリア、スウェーデンの「ナショナル・カー回帰」ともいうべき、強権的な国粋化(クルマ版のクールジャパン)なんてまったく訪れそうな気配もなく、国内市場ではとりあえず輸入車は全く脅威ではなく、大した競争にさらされることもなく、日本の自動車メーカーは今後もしばらくはこの世の春を謳歌していくようです。中堅メーカーのスズキ、三菱、マツダ、スバルは収支こそ堅調なものの、将来的な開発スキームの見通しを考えて、トヨタもしくは日産(ルノー)との連帯を強めています。政府の金融政策の遅れによって被害が拡大したとも言われる未曾有の円高にも耐え抜いたわけですから、いよいよ世界最強になってますね・・・。

  そんな日本車を純粋な輸入車が正面突破で蹴散らすことなんてあるのでしょうか? 携帯電話が普及し始めた1990年代の段階で、わずか10年そこいらで、アップルが世界市場を圧倒することになるとは誰も予想できていなかったわけですから、イノベーションという観点で北米のベンチャーEVメーカーあるいはグーグルがトヨタVWを圧倒する日があっさりやってくるかもしれません。2025年にはノルウェーが、2030年にはドイツが新規登録車は「ゼロ・エミッション」(現状ではピュアEVと燃料電池車のみ)に限るという斬新な政策がすでに既定路線だそうです。トヨタも2020年からEVの量産を始めると発表しました。・・・なにやら日本メーカーの優位が一気に崩れそうな「転換点」かもしれないですね。走りにこだわる英国製ジャガーとミラノ製アルファロメオ。対して日本勢はスバル、マツダ、スズキはトヨタ製EVユニットを積んだ平凡なクルマを作り始めるんじゃないか・・・欧州車はおとなしくクルマ文化に則った「イイ車」を作ってさえいれば、世界のクルマファンが支えてくれますよきっと。いよいよあのロータス(マレーシア国営企業所有)も黒字に転じるのだとか・・・聞いたかマツダ!!!スポーツカー単体でも黒字化は可能だってさ!!

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