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はてなダイアリーで書き殴っていた自動車に関する放言記事を1つのブログにまとめました。

VW よりも数字にシビアな トヨタ はやはり魑魅魍魎。

  ドイツではご存知のように自動車が「国策産業」とされていて、その中でも筆頭格のVWグループは国内の雇用確保やドイツの自動車産業を世界中に投下するなど、メルケル政権と一蓮托生のアツい関係にあるようです。「中国メーカーよりもダイナミック成長すること!」・・・世界一を目指して自動車メーカーが急成長のために取るべき「エグい戦略」を、どこよりも早く打ち出していくことで、トヨタGMをも凌ぐ「超巨大コンツェルン」への道を突き進んでします。VWの基本戦略は極めてドラスティックなもので、「世界シェア」という果実に欲情され盲目的に突き進む推進力は「営利企業」としては理想的ではあります。VWの迫力に比べれば、いくらマジメとはいってもスバルやマツダの戦略が単なる「生易しいきれいごと」に矮小化されてしまうほどです。その戦略は・・・

  欧州ではひたすらにノックダウン生産で徹底的に価格競争を行います。旧型アウディA4の設計をそのままシュコダ(傘下のチェコメーカー)やセアト(傘下のスペインメーカー)へ持ち込み、そのブランドで日本車や韓国車の同クラスよりも安く作ってしまうのです。この戦略によってMGローバー、サーブ、ルノープジョーシトロエンオペルといった大衆ブランドのミドルクラスはことごとく市場から駆逐されました!まるでトヨタプリウスのような「根絶やし戦略」で、その後はぺんぺん草さえ生えない・・・。1990年代から着実に欧州でも存在感が高まっていたマツダ、ホンダ、トヨタ、スバルの日本勢も結果的にはことごとくVWの戦略にやられました。ただしこれをさらに「MQB」というカタチで集約しようとしたらやや利益率が下がったという皮肉な結果がでてますが・・・。

  北米では単純なアメリカ人を手玉にとるように、ひたすらにパワーのあるエンジンを投入する戦略です。北米でも当初は新興国向けの1.4Lエンジンを投入していましたが、どうやら完全に時期尚早だったようであのゴルフ7が全く売れずに、発売した2013年にブランド別シェアでもスバルに抜かれるという屈辱を味わいました。そこで慌てて1.4Lのゴミエンジンを引っ込めて、1.8Lターボに切り替えました。トヨタ、ホンダ、ヒュンダイが1.8L自然吸気、マツダとスバルが2L自然吸気となっていていずれも140~160psあたりの性能に収まっていますが、VWはターボで「低速トルクと170ps」という差別化を図っています。それでいて価格がライバルとほぼ同じ・・・なのにスバルに「例の騒動」のずっと前から抜かされる。北米でなかなか思うように結果が出ていない中で切羽詰まったVWが取ったのが・・・自滅的犯罪でした。

  東アジア(中国・韓国・日本)ではひたすらにコストを押えたクルマを高価格で売りさばく戦略を取っています。クルマの良し悪しなんてまるでわからないユーザーがほとんどの東アジア人が客ですから、ひたすらに「ブランド価値」を高めるための広告戦略を遅滞無く展開しておけば、それを見た何も分っていない客が押し寄せてきてそそくさと買ってくれる。1.2Lとか1.4Lとか明らかにインド向けあるいは欧州での最廉価グレード用のエンジンでしかないのに、日本のVWオーナーはみんなこれが最先端だと信じ切っている。それなりの経験(日産のFR、スバル、マツダあるいはBMW?)があれば試乗した段階で「このクルマは嘘くさい!」とすぐに見抜けるはずなんですけどね。別に好き好んで買うようなクルマではないはずですが、そんなゴルフ7が年間2万台も初年度は売れちゃっているわけです。

  別にVWが悪くもないですし、日本のVWユーザーが愚かだとも思いません。よくも悪くも現代の日本人に有りがちな消費パターンです。クルマだけでなく他の業界でも実際には平凡で取るに足らないものが、ステルスマーケティングなどを介してユーザーに次々と販売されていってます。「大して旨くないコーヒー」とか「全メーカーとも使いづらいタブレット」とか「英会話スクール」とかさ・・・。日本人なんて身近な人との情報交換の中だけで生きてますから、それを上手く利用すれば「ねずみ講」なんてまったく仕掛け放題です。「オレオレ詐欺」は日本以外でも起こると思います? VWも「ドイツの優良メーカー」という仮面を被ってお人好しな日本人の間で認知度を上げていきました。それこそ「バーバリーのスーツ」「リーガルの靴」「VWのクルマ」みたいに小綺麗な身の回りをアピールするアイテムとして受け入れられてきたと思います。街中でつまんなそうなのにドヤ顔でゴルフとかアウディA3とか乗っている30~40代・・・これが善良で模範的な日本のサラリーマンの姿なんでしょうね。

  そんなVWですが、ますます複雑化する各地の市場で、さらなる競争力を確保するために、新たな体制を敷いて、傘下に収めるブランドの独自性を強めるとともに、グループ内の分社化を進めているようで、ランボルギーニベントレー、ポルシェ、アウディから高級SUVが次々と発表されるなど、ブランド間での競争も辞さない体制がとられているようです。そんなVWに触発されたか?あるいはVWトヨタシンクタンクがほぼ同じような戦略を描いているのか?はわかりませんが、先日はトヨタもグループ内の分社化を強める旨の発表が行われ、レクサスはトヨタとは別の「お財布」でビジネスをしていくといった内容でした。確かにトヨタとレクサスではコスト感覚も随分違うでしょうし、それに繋がって利益率に対する考え方も全くの別物になるはずなので、同じ役員のメンバーがどちらのブランドも決裁する?という従来のやり方ではいろいろと弊害が出てくるようです。

  トヨタは好調が伝えられるスバルやマツダと協業体制をすでに構築していて、これはカルテルというほど業界全体に渡った談合ではないでしょうが、トヨタダイハツ、スバル、マツダとの間では製品がお互いにガチンコになるケースはかなり避けられているようです。トヨタダイハツからOEMしている軽自動車ピクシスを本気で売ろうとはしていないですし、欧州向けに開発されているオーリスにしても、特にスバルやマツダに遠慮してもいるわけではないかもしれませんが、国内の価格設定からしてまったく売る気がないです。

  スバルはGMマツダはフォードの「尖兵」として日本市場での飛躍を期待されましたが、「官僚国家」日本の深慮遠謀が炸裂したのか、どちらもアメリカ資本から離れてからメキメキと業績が上がっています。トヨタ国交省経産省による「日本の自動車産業戦略」はしばしばアメリカやドイツと比べて「無策」などと言われますけども、国内市場を巧みに誘導する「マスコミ」をも巻き込んで、どこよりも鉄壁の戦略が取られているように思います。マツダなどはここ数年でかなり積極的に広告宣伝費を使っているようですが、トヨタや政府と同調した中でCMを打たないと効果が出ない・・・。今ならば「公共放送(笑)」の体裁を取っているはずのNHKまでが、マツダ車をニュース番組内でしばしば取り上げます。・・・マツダトヨタも何か「臭い」な。

  去年の終わり頃に、「VWがスズキへのネガティブキャンペーンをカーメディアを使って仕掛けている!」と告発した大バカ野郎(プロのライターです!)がいました。それに対して他のライターが反発するなどいざこざがあったようですが、トヨタGMヒュンダイもやっていることはどこも一緒だと思いますけどね。特にメルケルの寵児「VW」に面と向かって唾を吐きかけた「愚か者」スズキには、しかるべき業界の洗礼があってもいいくらいです。VWに脅威を感じていたトヨタの意向が働いているのかわかりませんが、日本のメーディアは「スズキに正義がある!」という一辺倒な報道を続けました。日本での悪評を危惧したVWが「カネ」で情報を操作しようとすることに、いちいち過敏に反応するヤツは相当な世間知らずだと思います。しかし日本のクルマ好きなんてみんな「世間知らず」ですから、反応するな!といっても無理ですよね・・・。旗色が悪いVWに噛み付いたスズキには「錦の御旗」が掲げられ、マツダやスバルが大好きすぎる「スワデーシー」な人々からもかなり注目を集めるようになっています(ハンガリーやインド製も発売中ですが・・・)。

  15年前まではトヨタの世界販売などせいぜい400万台程度でした(400万台クラブ)。もちろん中国がGDPで日本を追い抜き「大船団の大躍進」でしたから、販売台数が文字通り桁違いに伸びるのは当然のことではあります。これが今では「800万台クラブ」となっていて、世界のトップ10からホンダとスズキを除外した「8大自動車グループ」がVWトヨタのように、政府やマスコミとの連衡により急成長を遂げました。国別にカウントすると、アメリカが「2.5」、フランス「1.5」、日本「1.5」、ドイツ「1」、韓国「1」、イタリア「0.5」です(0.5はルノー日産、フィアット・クライスラーによる)。

  8大グループを見渡しても、特段これらが素晴らしいクルマを作っているという印象はないです。素直にクルマだけを比べれば、メルセデスBMWマツダ、スバル、ボルボジャガー、ランドローバー、テスラなどの方がよっぽど優れていると思います。いまさら幻滅することもないですが、800万台つくるためには良い設計が必要なわけでなく、どれだけ「政治的」な力に擦り寄っていけるかが勝負なんでしょうね。フォード、GMプジョーシトロエンは数年後には自動車製造部門のほとんどを中国に売り渡しているでしょうし、クライスラーはイタリアの国策に乗っかっていくでしょう。ルノー・日産も生産拠点はどんどんルーマニアや中国・韓国に移っていますから、今後は産業に力を入れたい地域の政府とよりよい連携を模索していくでしょう。残ったトヨタVWフィアットヒュンダイはそれぞれ母国の政策に「おんぶにだっこ」・・・どうも怪しげな雰囲気が漂います。


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