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はてなダイアリーで書き殴っていた自動車に関する放言記事を1つのブログにまとめました。

トヨタ経営の強さ、そして新型クラウン

クラウンはGTサルーンブームを巻き起こす!?
  長らく日本の高級車の定番であったトヨタ・クラウンが今年フルモデルチェンジを迎えるらしい。クラウンといえばプライベートサルーンの最高峰に位置する高級セダン。同じくトヨタが作るレクサスLSはあくまでクラウンから派生した特装車なので、クラウンファミリーの一員みたいなものだ。高級サルーンの基準を作るのはドイツブランドと言われているが、クラウンファミリーが持つ先進的な技術は、少なくとも日本に入ってくるブランドの高級サルーンには大きな影響を与えている(ように見える)。現在の高級サルーンはとにかく「振動を抑えて外界と遮断された静粛性を担保したクルマ」であるという定義に落ち着いた。これが世界へ発信される契機になったのはもう25年以上前に発売された1台のトヨタ車だった。

高級サルーンの琴線
・・・だからサルーンにおいてはトヨタが一番偉い!!と勝手に思っていたら、今度はそのトヨタ自身が「静粛性だけではサルーンの魅力は解放されない」みたいなことを宣言し始めた。静かな車内、マッサージ機能がついたシートに加えて、ハイテクな快適装備を、自動車ではなく家電&IT系のサプライヤーからも集めて、それをてんこ盛りにすれば高級サルーンの商品力はひたすらに上がり続け、(ほぼ税金対策の)ユーザーは次々に買い替えをしてくれるという「クラウン・フォーミュラ」が世界の高級サルーンの常識となっていたはずが、『言い出しっぺ』のトヨタがそれを根底から否定し始めたようだ・・・。

ピーター・ティールが語る理想の「スタートアップ」
  トヨタのクルマ作りはしばしば批判されてきたけども、結果論で語ればトヨタは現在世界で最も有力な自動車メーカーであり、トヨタという社名のブランド力も、自動車メーカーにおいては世界一だと評価されている。製品開発においてトヨタはその他大勢と比べて何が凄いのか!? 誤解を恐れずに言うと、トヨタ以外のメーカーは「技術の進歩」によって競争に勝つことで生き残りをかける戦略を愚直にとっているのに対して、トヨタだけがとにかく「独占」を念頭に置いた開発をしている(だから欧州市場ではいつまでたっても結果が出せない!?)。「その他大勢」のメーカーは、藤沢武夫&本田宗一郎の時代を彷彿させる成長産業に合った「イノベーション」を行っているのに対して、トヨタだけがまるで違うことをやっているようだ。それはピーター・ティール(カリスマ投資家)の著作に登場する「競争とは資本主義の対極」という言葉に集約されている。ITバブル以降のビジネス環境にうまく適応しているのはテスラではなくトヨタであり、まるで全てを最初から承知していたかのようにブレない仕事ぶりで「独占」を掴む。トヨタ的なマインドを持つ企業こそ投資価値があるとピーター・ティールは太鼓判を押しているわけだ。

可能なところは全部独占
  プリウス、クラウン、アルファード/ヴェルファイアヴォクシー/ノア/エスクァイワ、シエンタ、アクア、C-HRそして86まで、トヨタは日本で次々とヒット車を生んだけども、なぜこんなに簡単に!?とすら思う。ヒットの理由を探ってみると簡単なことで、それぞれのジャンルで、日本市場に関しては「独占」が可能かどうかの判断に最も時間を費やしているんじゃないかとすら思う。常に「独占」が達成できるクルマしか手掛けてないストイックな姿勢(GT-Rのシェアを奪おうなんて考えていない)。最もやり方は色々あって、他のメーカーが全く考えなかった新ジャンルを切り開いていく場合(プリウスアルファード、アクア)もあれば、ホンダや日産のヒットモデルに付加価値を加えて「独占」に持ち込む場合(ヴォクシーC-HR)もある。

トヨタとカーメディアは実は馴れ合い!?
  ピーター・ティールがその著書で「明かす」ところによると、どんな分野のトップメーカーも決して自ら「独占状態にある」とは言わないものらしい。それがユーザーに伝わることは完全にデメリットでしかない・・・なるほど。つまりトヨタの経営にとっては、カーメディアから「壊れないけどつまらない」くらいに弄られて「不完全」感を出しているのがちょうどいい具合らしい。むしろトヨタ輸入車に劣っていて、必死の「競争状態」というより「苦戦」であることを強調してほしいとすら思っているのでは!? 日本のカーメディアを読めば(本当は存在しない)ライバルの実力が誇張されているとしばしば感じる。これこそが全てトヨタの戦略なのか!?

スバルやマツダが稼げているのはアベノミクスの恩恵だけ
  それに対して弱者(シェアの小さいメーカー)は、あたかも自らの立ち位置あるいは新製品が市場ではオンリーワンの存在であることを必死で伝えようとするものらしい。ノートe-POWER、フリード、ソリオ、ロードスターなど、各メーカーは「差別化」のマインドの中で精一杯にいいクルマを作ろうと言う狙いは、「モノづくりの復権」を目指す日本ではセオリー通りに見えるけども、いずれもアクア、シエンタ、86の独占を許してしまっている。ピーター・ティールに言わせれば「技術力」の有無ではなくて、21世紀にスタートアップできる企業の「必須条件」は「独占力」があることらしい。そもそも7つも8つも自動車メーカーがあって「ガチ」で競争している日本の自動車産業こそが異常なのかもしれない。

再びトヨタの「独占劇」が見られる
  そんな中でクラウンの「独占」が破綻し始めた。欧州メーカーが「クラウン的な」要素を盛り込んだサルーンを様々な価格バリエーションで仕上げてくる。日本に入ってくるクラウン車格のサルーンの成功率も限りなくゼロに近くなっていて、「過当競争」であることは否めない。もはや総崩れ状態であり、クラウン&レクサスの販売台数も逓減の一途をたどっている。「クラウン・フォーミュラ」はあっさり弾けた・・・。けれどもトヨタにとっては大得意の「スタートアップ」を再び迎えただけであり、今年発売するクラウンで再び「独占」を築き上げそうな気配である。

トヨタが倒れる日
  やはりトヨタは偉大だ。瀧本哲史とか言う知識人風情の投資家が「生きる伝説」と崇めるピーター・ティール。彼が数年前にドヤ顔で資本主義の真実を語った本が話題になりましたが、その本が出る10年以上前からトヨタは「独占」こそが21世紀ビジネスの「全て」だと理解して経営を進めていたようです。なぜトヨタだけがそんなことができるのか!?経営陣が優秀だからなんでしょうけども、トヨタは「独占」のためならばダンピングを厭わない(リスクをとる)という方針があるのだと思います(プリウスやアクア)。ヴァンケルなんちゃらエンジンとか、なんちゃらXエンジンとか、21世紀になっても80年代イノベーションで勝負しているメーカーも微笑ましいですけども、そんなメーカーがトヨタをボコボコにする時代が来る可能性は限りなくゼロに近い!?・・・しかしそれが実現してこそ「本当の21世紀」なのかもしれないが。


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