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はてなダイアリーで書き殴っていた自動車に関する放言記事を1つのブログにまとめました。

 トヨタC-HR が売れると信じて疑わないライターが多過ぎじゃ・・・

  トヨタが『C-HR』という「とんでもない」世界戦略モデルを用意しているらしいです。報道されている限りでは年内にも発売されるようで、新型プリウスの大変身で一躍有名になった『TNGA』を使った、プリウス(オーリス?)のクロスオーバーモデル(SUV)だそうです。トヨタは北米でいち早く作って大ヒットさせたSUVの初代ハリアーはカムリがベースになっていましたが、現行の2代目はボデーサイズはそのままですが、オーリスなどと同じトヨタのCセグ汎用シャシーに変わりました。現行ハスラーと同じシャシーを使うCセグSUVのRAV4は既に北米では大人気です。日本ではさっぱり売れないのは日本人にはウケないデザインだから!!最新のオシャレで斬新なSUVデザインに身を包めば・・・。『ふーん。興味ないなー、どうせそこそこ売れるんでしょ!』ってシラけている人も多いとは思いますけど、近年のトヨタにとって最大の鬼門となっているCセグですから、一筋縄ではいかないのではないかなーと。

  欧州ではかなり勢いがあるオーリスと、北米では人気爆発中のRAV4が、日本で(今のところ)なぜか全く売れなかったように、3ナンバー化したCセグがなんの外部的要因無しに安易に売れる余地は、どうやら日本市場にはないのではないか?と思われています。ホンダが久々に日本市場にシビックを復活させるという噂もありますが、そんなに上手くいくとは思えません。マツダも渾身の傑作と信じて止まないアクセラがデビュー以来日本ではどうも売れ行きはイマイチで、この夏に新たに『Gコントロール』&1.5Lディーゼルを追加して仕切り直しをしましたが、過ぎ去ったブームを呼び戻すほどのものではなく反響は限定的になっています。また年内に登場する新型インプレッサもスバルが世界一を目指したシャシーが使われるようですが、これもまた一部のスバルマニアしかその価値は理解されないだろうし、買わないのだろうな・・・。

  トヨタのCセグといえばシリーズ累計販売台数世界1位の「カローラ」ですけども、オーリスやプリウスと違って国内専売向けとして、プラットフォームが切り離されていて5ナンバーに留まっているので、これは『旧Cセグ』=Bセグというやや特殊な立ち位置です。これもHVが出るまで売れませんでした。プリウスと同等の使い勝手のHVが安く買えるということでフィールダーHVは人気が出てきました。ちなみに北米カローラはオーリスと同じシャシーを使った国内カローラとは全く別のモデルが用意されていて、欧州ではオーリスがカローラとして販売されています。トヨタの新しいグローバルサイズのCセグとして売り出されたプリウスですが、1997年のデビュー以来しばらくはハイブリッドに対する抵抗感を乗り越えるのに時間が掛かり、国内でも3代目になってやっと火が付きました。しかも初代モデルからトヨタがギリギリを越えたダンピングをして、さらに国の補助金まで引っ張り出してなんとか軌道に載せた・・・そう記憶しております。

  年末に登場する『C-HR』は早くも大ヒットが既定路線のように報じられていますが、トヨタダンピング無しに果たして上手くいくでしょうか。まだ価格は発表されていないようですが、HVならばプリウスの価格に+50万円。1.2Lターボならオーリスターボの価格の+50万円ですから、HVが292万円〜、ターボが309万円〜くらいでしょうか。もっとも1.2ターボのオーリスは内装が差別化された特別グレードのみで構成されているので279万円〜くらいが相場でしょうか。輸入ブランドと比較するとプジョー3008が349万円となってますが、プジョーのディーラーの新古車販売では未使用と思われる2016年登録の3008が270~299万円程度で何台も出品されています。

  200万円台後半となるとノアやセレナといった中型ミニバンと競合するのでユーザーのボリュームはかなりありそうですが、やはり「3列ありき」の保守的なクルマ選びをする人がまだまだ多いとは思います。ワンクラス上のSUVでもエクストレイルなどは3列グレードがあったりします。さてトヨタは「2列」から動かせないCセグSUVをどう売りさばくのですかね・・・。元々日本向けじゃなくて、RAV4がそこそこ売れている市場向けに新型SUVとして投入するわけですから、日本でコケても全く影響はないですし、北米や中国ではほぼ成功が約束されていて、いよいよCセグSUV市場のブームが始まったとされるフランスへ攻勢をかけることになりそうです。

  フランスでSUVブームを牽引したのが、ほかでもないトヨタにとっての永遠のライバルである日産です。フランスでは「キャッシュカイ」という名で売られていたデュアリスは、日本車の魅力を自動車先進国の市場で認めさせた素晴らしい業績を築いていて、アメリカでSUVブームを作ったハリアーと並ぶ「殿堂入りの日本車」です。ランクルセルシオスカイラインGT-Rロードスター(初代)、シビックプリメーラ(初代)、ランエボアテンザ(初代)・・・Cセグ以上で先進市場に認められた日本車の系譜に、トヨタは「C-HR」を並べるべく徹底した作り込みをしているという噂です。TNGAなのでリアはダブルウィッシュボーン(DWB)になり、トーションビームを使うVW(下位グレード)やホンダに対して走行安定性がアドバンテージがあるとされますが、今回はTNGA車で始めてドイツのザックス社製ダンパーを採用するのだとか(全グレード)。

  DWBはマツダ、スバル、BMWメルセデスでは当然に使われてますが、今回はダンパーで走りに差をつける狙いがあるようです。ちなみにザックスはVWゴルフでの採用で、大衆車においてもかなり有名な存在になりました。どんなアンチVWでもザックスの効果には一定の評価を与えたくなります。ゴルフ7GTIのフラット感はとてもよかった!!!ただしどっかの国沢という人がザックス!ザックス!うるせー感じですけども、結局はダンバーなんてコスト次第ですよ。日本メーカーのショウワやKYBだって高コストなダンパーの注文が来れば、スポーツ用のザックス(4本50万円とかする!!!)に匹敵するダンパーを仕上げられる!!って技術系の雑誌にハッキリ書いてありました。なので試乗してない段階で「これは最高!!」とは言えないですね。

  さて話が紆余曲折しましたけども、トヨタは必勝を期して「C-HR」を設計しているようですが、肝心の『中身』は、単細胞の自動車ライターがウキウキしちゃうくらいにわかりやすい、『既存モデルのいいとこ取り』をした最後発のCセグSUVってことです。これで勝てるならば、どのジャンルでも、既存の人気モデルの実績から徹底的に「いいとこ取り」してK沢さんに褒めてもらえるような解り易いクルマを作ればいいわけです。・・・なんだか『C-HR』の末路がちょっと見えて来たような気がしませんか? アメリカ、中国はまだしも、日本でヴェゼルを駆逐し、フランスでジューク&キャッシュカイを絞め上げる!!!なんて野望はちょっと無謀だと思うのですがね。