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はてなダイアリーで書き殴っていた自動車に関する放言記事を1つのブログにまとめました。

VWの失墜・・・ゴルフ7の大不調。

  まともに考えれば、最初に呈示されたスペック表の中に真実があった。2013年に鳴り物入りで登場した新型ゴルフこと7代目ゴルフは最初から懐疑の眼で見られるべきだった。このクルマの大前提はVWの利益率を大幅に押し上げることだった。この事自体は否定されるべきほどではない、マツダだってスバルだって利益率は上げたくてFMCを意図するわけだし。VWマツダもスペック表には様々なコストダウンが明記されていた。それを受け取った上でユーザーはクルマをえらび、専門家はレビューを書いた。

  まずはマツダがやった事は、洗練されたクルマへとデザインをシフトさせ、クルマの立ち位置も大きく変えてしまったことだ。アテンザでは高級感を演出できるポイントだけに重点を絞り、クルマを作り込んだ。そこにはかつての「フラット」なアテンザの姿は無かった。アテンザを汗臭く走らせるユーザーを切り離し、徹底的にクルマを違う路線へと追い込んだ。これでエンジンが多少スポーティでなくても、サス形式がグレードダウンしていても表立って文句をいう層はいなくなった。多くの人がマツダの苦渋の決断を支持したし、コンセプトが変わったアテンザの快進撃を肯定的に受け止めた。もはやスポーツセダンではないかもしれないけど、このクルマには市場全体を大きく揺さぶる革新性が備わっているという事実に期待した。くだらないプレミアムブランドを一掃してくれと!

  それに対して7代目ゴルフは徹底的に誤魔化した。「スペックダウンですか?それでは乗ってみなさい!」「・・・・」「どうです?分からないでしょ!」。まあこんな感じ。5代目も6代目もゴルフにとっては大きな変化を伴うFMCだった。その時のゴルフは今ほど自信に満ちあふれてはいなかったけども、クルマの総合力を確実に上げましたという断固たる思いは伝わってきた。幾多の新機軸をゴルフに最初に搭載するために、多くの開発費が投入されたこともあり、VWにとっては収益率の低さが頭痛のタネだったが、それでもフォーカスに脅かされた欧州市場に返り咲くために無理をした。

  そして7代目ゴルフ。あくまでVWの経営上の決断は尊重されるべきだ。その結果がアメリカ、フランス、イタリアといったライバルメーカーの本拠地市場での大惨敗につながった。日本でこそ大人気の7代目ゴルフだが、実はグローバルではもはや失敗というレッテルが貼られつつある。特に自動車先進国といわれる市場で大苦戦している。くどいが日本を除く他の全ての市場だ。ドイツ市場でも落ち込みを記録している。スペックを下げつつも、ユーザーを欺くように必死で誤魔化すクルマ作りというのは語弊があるかもしれないが、そういう手法がクルマファンには最も嫌われるということがVWには分かっていなかったようだ。

  北米市場では転落が止まらず、とうとうメルセデスに抜き去られ、BMWマツダにも抜かれるのは時間の問題かもしれない。日本に匹敵する市場に成長したブラジルでも大きくシェアを落としていて、トヨタ追撃は大きく後退している。日本市場は堅調といっても、日本車天国の閉鎖的な市場なので元々のシェアは微々たるもの。頼みの中国市場でも成長は鈍化していて、中国政府から名指しで批判されるなど最近はトラブル続きだ。ドイツ市場では横ばい。残る主要市場のフランスとロシアでもともに昨年比80%台を記録するなど壊滅的だ。それでも日本の自動車評論家はこの事を一切報じようとはしない。何と言っても日本COTYに選んでしまったのだから。


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