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はてなダイアリーで書き殴っていた自動車に関する放言記事を1つのブログにまとめました。

スバルレヴォーグ2.0GT-S 「330万円で至れり尽せりのスポーツGT」

  昔の日本車の価格は大まかに「1馬力=1万円」が相場だったらしい。日本車もどんどん価格が上がり、そんな価格でクルマを作るメーカーが絶滅しかかっているが、富士重工ことスバルはいまだにそれに近い価格を意地してクルマを作っている。WRXなどがその好例だ。そして新たに発売する新型車種「レヴォーグ2.0GT-S」もまた最上級グレードながら、概ねこの価格方程式を守っているのは素晴らしいことだ。とりあえずこのグレードはお買い得と結論して良いだろう。

  スバルWRXは「1馬力=1万円」に近い価格設定が受けて人気を博してきたが、近年スポーツカーの性能はさらに上がり400psを軽く超えるレベルのクルマが当たり前になりつつある。デカいウイングやら専用シートやらどこからどう見てもスポーツカーのWRXにとって「水準より遅い」という現実は、いくらお買い得だからと言ってもクルマの存在が陳腐化してしまうのは避けられない。よってスバルの次なる戦略は「WRXワゴン」と言えるクルマを開発し、スポーツカーという側面を目立たせないようにしつつ、その高性能さとリーズナブルさで独自の市場を切り開くというもののようだ。

  そんな経緯で作られた「レヴォーグ」にはより廉価版の1.6Lターボのグレードも設定されているが、こちらは「1馬力=1万円」の原理とは大きくかけ離れている。ベースグレードで247万円。スバルの説明ではレガシィの2.5Lと同等の最大馬力とカタログ燃費を達成していると言っているが、エンジンの耐久性などを勘案すると同じ価値のエンジンと位置付けるのはちょっと無理がある気がする。スバルはこのFB16DITエンジンをレギュラー対応させ、欧州車からの乗り換え需要を狙っているようで、その為にも車格を維持する必要があり195万円といった価格設定はできない事情があるようだ。

  レヴォーグの廉価グレード(1.6Lターボ)はとりあえずパスでいいと思う。この手のワゴンでお手軽なものを求めるならば、安さならカローラフィールダー、経済性ならアテンザなど日本車で他の代替手段がいくらでもある。よって買うならば2.0Lターボモデルしかも「2.0GT-Sアイサイト」の一択だと思う。理由はスバルに素直に求めるクルマに近いのがこのグレードで、しかも価格も一番合理的だから。

  スバルに最良といえる内外装のデザインを求める人は少数派で、そういう点を気にしてクルマを選ぶならばマツダトヨタが一枚も二枚も上手。だけれどもスバルはパフォーマンスを追求させればどこまでも期待に応えてくれる。1.2Lエンジンを猛烈に過給して焼き切れるように使う輸入車なんて、やってることは外道な改造車みたいなものだと思うし、それを無批判に受け入れる日本市場もまた相当なクルマ音痴と言われても仕方がない。軽自動車やミニバンの方がよっぽど自動車としての大義名分があるが、日本のクルマ好きはそれを批判して自己を正当化するから質が悪い。

  スバルがやるべきことは、高性能車にしっかりと大義名分を持たせ、クルマとは何かの定義から間違ってしまっている愚かな輸入車ユーザーをしっかりと啓蒙することだ。その「使命」をスバルが自覚していると示しているのが、この「2.0GT-Sアイサイト」というグレードなのだと思われる。スバルが考える最上級にスポーティでフラットな足回りは実用車のレベルと飛び越えた段階にある。そんなマシンの性能を切り替える「SIシステム」の付いたGT-Sグレードにすることで、スポーツ領域と実用領域での合計で3段階の使い分けができる。

  このSIシステムはBMWでいうところのMスポの可変ダンパーみたいなものだけど、非力なMスポだと逆効果でオススメできないオプションと言われている。レヴォーグに関しても「2.0GT-Sアイサイト」のみに設定しておけばいいのではという気がするが、1.6GT-Sアイサイトにも2スイッチのSIシステムが導入されている。こちらも当然ながら非力なエンジンではSIシステムは有効ではない。よってスバルの理念を受け取るならば絶対に「2.0GT-Sアイサイト」以外に選択肢はない。それ以外のグレードならば他のクルマを考えた方がいい。


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