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はてなダイアリーで書き殴っていた自動車に関する放言記事を1つのブログにまとめました。

自動運転の時代が来る!!だからどうした・・・?

  今年も「間違いだらけのクルマ選び」が発売される季節になりました。故人となられた徳大寺さんから、このシリーズをバトンタッチした島下泰久さんですが、相変わらず「ひたすら真面目」に書いておられます。素人が上から目線で恐縮ですが、自動車評論家というお仕事は、「ユーザーの変わりに厳しい眼で市販車をチェックして伝える」という極々当たり前のものから、「メーカーからお金を受け取って、そのメーカーに有利な情報を流す」というちょっとグレーなものまであると一般に思われてますが、読者のほとんどはいわゆる「カーキチ」なので、そんなもの読まずともスペック表(諸元表)から大まかな特徴は掴めますし、メーカーに有利な情報(プロパガンダ)を単純鵜呑みにする人も年々少なくなってきたように思います。

  結局のところ、多くの読者が望んでいるのはクルマに関する「深い洞察」であったり「ウンチク」であったり「業界情報」であったりなので、島下さんのような仕事をたくさん貰っているライターはその点を踏まえた書き方をしているように思いますが、一冊の単行本に自動車業界を詰め込むという仕事はやはり想像を絶するものらしく、島下さん自身が書くのに飽きてんじゃねーか?と見受けられる箇所もあったりします。1モデルに充てられる紙面も僅かなので深いウンチクを披露する場所も少なく期待していた読み応えとは程遠い内容でした(来年にまた期待します)。

  それともう一つ、自動車ライターの仕事の優劣を決定付けるのが、ライター自身の「ライフスタイル観」でしょうか。どのクルマも本来の「機能」に加えて「文化的側面」が合わさって「商品」を形成しているものですが、それらをまったく無視して書かれているレビューを見ると、まるで素人の「アウディA3に感激です!!もう日本車には戻れません!!」みたいなごくごく主観的な感想と大して変わらないわけです。島下さんもこの本の序盤で「自動運転の時代」がやってくる状況に対して「2040年の『間違いだかけのクルマ選び』はどうなってしまうのだろう?」と、なんとも呑気に「突っ込みどころが満載」なことを書いておられます。

  まずは島下さんは2040年までには完全自動運転が実現していると本気で思っているのか? どう考えても無理だろ・・・。20年以上前から飛行機の自動操縦は実現しているわけなので、技術的には可能なのでしょうけども、「可能」と「普及」では全く意味合いが違いますし。100万歩譲って2040年に市販車の多くが自動運転になったとしましょう。だから何だって?島下さんが言うには「そうなったらBMWマツダは買わないだろうな・・・」って。たとえ自動運転が普及したとしても運転を愉しむ趣味が完全に奪われるとは思えないのですけどね。むしろスポーツカーという一定のマーケットはおそらくかなりの確率で残るんじゃないでしょうか。もしスポーツカーが2040年に全く売られなくなる!とするならば、そりゃ島下さんのおっしゃる通りだと思うんですけどね。

  そもそも「間違いだらけのクルマ選び」を2040年まで続けるんだ!!ってことにビックリです。もちろん頑張って欲しいですけども、このシリーズの本当の「転換点」は2040年ではなくて、まさに今現在だと思うんですよ。「完全自動運転」が到来しようがしまいが、すでに現段階で「走りの良さ」で勝負しているモデルと、「そうではない」モデルとではハッキリと立ち位置が分かれていてそれぞれに別のユーザーを囲いこんでいます。もはや完全自動運転のクルマと同じように、運転の楽しさなどは不問にしていいようなザ・「ファミリーカー」は、HV&CVTの普及とともに着実に増えています。それなのに国産の大部分のモデルを列挙して島下さんの主観で走りの良し悪しをベースにクルマを採点するわけですから、読んでいる側はシラけますよ!! すでにこのシリーズのフォーマットに無理があるんじゃねーの!?走りにキレが無いファミリーカーを片っ端から切り捨てて何か楽しいですか!? マツダ、レクサスの高性能なステップATを配したモデルが圧倒的に優勢になるのは当然じゃないですか? そりゃCVTでエコ運転するトヨタやホンダのファミリーカー相手に負けるはずがないじゃん・・・。

  「完全自動運転」によってシリーズが危機に立たされる未来を憂いてる場合じゃなくて、現段階で「走り」自慢のクルマの性能がどれほどのもので、運転を愉しむ為に買っても後悔しないクルマがどれなのかハッキリさせるべきだと思うんです。CVTエコカーに「走りがイマイチ」なんて下劣なコメントは一体?誰得なんだ!! そんなムダなエネルギーを使うくらいなら、走り自慢のクルマばかりを集めて、誰もが納得するような強烈な筆致でもって「走りのチャンピオン」を独断と偏見で認定!!してほしいものですね。失礼ですが、それくらいの企画力が無いと「完全自動運転」がやって来る前にお仕事無くなっちゃうんじゃないでしょうか?

  せめて日本市場でよく売れている輸入車に関しても取り上げて同じような採点をすべきだと思います。少なくともゴルフ、MINI、Cクラス、CLA、Aクラス、3er、2erアクティブツアラー、ポロ、X1、Bクラス、500X、V40、1er、208、308といった販売台数上位のモデルは入れるべきじゃないですか? 確かに日本車と輸入車の比較はいろいろとリスクはあると思いますよ・・・。某有名ライターF氏のように、レクサスISがBMW3erに完全勝利した!!と宣言して輸入車好きからの支持を失ったり、ゴルフ7を絶賛したはいいものの、多くの読者から執拗にツッコミが入れられ、事あるごとに連載でその言い訳を書き続けたものの、最終的にはVWに関する様々な疑惑が持ち上がって窮地に追い込まれる・・・という悲しい結末になったりするかもしれません。

  それでも誰が何と言おうとも、勇気を持ってゴルフvsアクセラやレクサスISvsBMW3erを徹底的に分析した有名ライターF氏は讃えられるべきだと思います。VWマツダ、レクサス、BMWのいずれもが「走り」を良くしようと奮闘して世界の最前線で戦っているという自負を持って開発を行っているのに、燃費やラゲッジの広さやインパネの質感で優劣を決めちゃおうとするなんてクズのやる事です。「走りの質」という数値化できない「主観的」な領域だからこそ、専門のライターが必要になってくるんじゃないですか? 素人がブログを書いてるだけでも、内容が気に入らない連中が「何とでも言えるよな(笑)」とか書き込んできますが、クルマの走りなんて「エゴ」剥き出しで判断することに意義があるんじゃねーの?って思うんですけど、それを全く理解しない「つまらない人々」もいるみたいですね、そういうアホはブログなんて読まないでブランドHPのスペック表でも見てればいいじゃん!!

  さて一冊を通して読んで島下さんが多少なりとも熱くなっていると感じるモデルは、「ノートe-POWER」「アコードHV」「シトロエンC4カクタス」「86/BRZ」「マークX」の5台ですね。いやー!これは一般のクルマ好きとかなりシンクロした面々じゃないですか、さすがは売れっ子ライターですね、すばらしいバランス感覚です。ぜひこの5台を熱く語った島下泰久の「裏・間違いだらけのクルマ選び」も発行してほしいなと思います。

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