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はてなダイアリーで書き殴っていた自動車に関する放言記事を1つのブログにまとめました。

間違いだらけのクルマ選びで炸裂する島下氏のブラックジョーク

 やはりプロの自動車評論家の文章というのは、いろいろとカラクリがあって何気なく読んでいても言葉がやたらと刺さります。どういうコネがあるのか知りませんが各自動車メディアで引っ張りダコの島下泰久さんも、やはり超売れっ子だけあってその評論に使われる言葉がなかなかヘビーで、そのクルマの担当開発者を深い苦悩へと追い込みそうなヤクザな表現がとても印象的です。

  現代の自動車産業は非常に高度に集約されていて、発売中の新車はどれも非常に完成度が高く、どのディーラーのどのクルマに乗ったところで「酷評」に値するクルマなんて滅多に見つかるものではないです。個人的に気に入らないブランドであるVWのディーラーに乗り込んで行って、ゴルフを散々に貶してやろうと思いましたが、ゴルフGTIのドイツ車最高レベルに洗練された乗り味に完全に返り討ちにされてしまいました。少々失礼な言い分ですが、ドイツ車なんて右足で十分にフィーリングを創り出せない運動神経の欠如したクルマ音痴だけが挙って絶賛する「ゴミ」だと長い事ずっと思っていました。しかし最新のゴルフGTIやBMW320iやメルセデスA250にいざ乗ってみるとそんな野暮なイメージとはだいぶ違っていて、いずれも日本車的な繊細さを十二分に持ち合わせていました。

  実際のところ日本市場で売られているクルマで、「絶対に誰にもお勧めできない」なんて酷いものは・・・、とりあえずそんなのは輸入車にしか無いと断言していいと思います。日◯・マ◯チやト◯タ・カ◯ーラが酷評されているのをたまに見かけますが、この2台は自動車所有のハードルを低くするという意味で、コストパフォーマンスを優先したクルマであり、日本の過疎地域を支える素晴らしい自家用普通自動車(国民車)です。こんなにもマジメで罪も無いクルマを捕まえて、まるで容赦なくプジョー208やVWゴルフを評価するような視点で厳しい言葉を投げかける評論家はかなり多いです。結局のところマ◯チやカ◯ーラを買う人々はおそらく自動車メディアなんて興味はないだろう!という前提のもとに興行される「プロレス」なんでしょうけど・・・。

  「間違えだらけの自動車選び」なんて実にプロレス臭がプンプンするネーミングです。しかし実際にイメージ通りに「プロレス」をやっているのはクルマ好きに不人気なモデルを酷評する場面だけで、逆にそれぞれのクラスで筆者が最高の評価を与えるクルマに関しては、やたらと筆者の「ガチ」な価値観がボコボコと放り込まれてきます。ほんの数年前までは、ほぼ全ての自動車雑誌や自動車本は全面的に「プロレス」であり「プロパガンダ」でした。多くのクルマ愛好家からは冗談半分に読まれるもの、あるいは完全に無視される存在でしかなく、日本において自動車メディアは自滅の一途を辿りました。

  さすがに海外メディアのサイトが手軽に覗ける時代になって、不誠実に日本車を見下す論調が完全に通用しなくなり、多くの自動車ライターはそのスタンスを変えつつありますが、今でもベ◯トカーやニ◯ーモデルマ◯ジンXなどの低俗ライターを好んで使うプロパガンダ雑誌では、救いようが無いほどに酷い欧州車至上主義が貫かれています。それでも時代の流れは変えられず、IT時代も成熟した現在ではセルフメディアで、ちょっと前までは神と崇められた「ドイツ車の偽善」をズバズバと暴く有名評論家が多くなってきました。

  そんな「欧州車オワコン論」は世紀の問題作にしてプレミアムブランドの闇を鋭く切り裂いた「世界自動車戦争論」(福野礼一郎)で発露し、最近になって発売された「午前零時の自動車評論8」(沢村慎太朗)の中でも、「ドイツ車なんて童貞が作ったAV・・・」という過激表現が飛び出したかと思うと、最新のメルセデスSクラス(W222)をあっけなく「失敗作」と切り捨てる暴挙まで飛び出しています。ちなみに現在発売されているEクラスはもはや「ゴミ」扱いですし、Cクラスに至ってはメルセデスですら無い!くらいの完全否定モードです。挙げ句の果てにメルセデスには車体を仕上げる技術が決定的に不足している!とまで言い切ってしまっています。SLSなどのスペシャルモデルは全てマグナ・シュタイナーなどに完全外注(丸投げ)して凌いでいると暴露までしてくれています。

  ベ◯トカーの国◯光宏のような輸入車絶対主義の「ド素人」とは一線を画したいと考える評論家からは、レビューや動画のコメントの端々にその想いが練り込まれているのが解ります。オートカーの森慶太氏は、「ボルボS60は最新のドイツ車よりも断然に乗り心地が良い!」と力強く宣言していましたし、地方局の地上波で番組を持っている岡崎五郎氏は「僕はね・・・BMWの◯シリーズに初めて乗ったときにアレ?ってとても気に入らなかったのね・・・、でもこの2シリーズは僕が乗ってたE46を思い出させてくれる久々の快作かも・・・」みたいな歯切れが良いのか悪いのかわからない独特の言い回しで最近のBMWにはカスが混じっている!といったニュアンスが番組を見ていると自然に伝わってきます。

  そして島下泰久氏も、このシリーズの回を追うごとに輸入車に対して、厳しい意見が出るようになりました。今回も実用車で絶対オススメという輸入車はとりあえず無いようです。絶賛されているクルマはことごとく国産車で、このシリーズを育んできた故・徳大寺さんが語る「輸入車のロマン」みたいな特有の余韻はもはや味わえません。故人にムチ打つようで遺憾ではありますが、このシリーズもだいぶつまらなくなったな・・・というのがこの2015年版の感想です。


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