CARDRIVEGOGO アーカイブ・ブログ

はてなダイアリーで書き殴っていた自動車に関する放言記事を1つのブログにまとめました。

ゴルフGTI  コンパクト・ツアラーはやはり伝統モデルがいいかも!

  アメリカ市場ではCセグメント(アクセラインプレッサのクラス)でもスモールカーと呼ばれ、価格はかなり低く抑えられています。プレミアムブランドから発売されているメルセデスAクラス・BMW1シリーズ・アウディA3といった日本ではおなじみのモデルはアメリカ市場では基本的には設定されていません。これまで一般にCセグカーはいかにアメリカで安く売って利益を出すかを念頭に置いたクルマという先入観があったので、どうもマイカー候補に上げる気になりませんでした。そして長らくスモールカーなんて一生乗らない!と粋がっていたわけですが、最近のCセグそしてBセグ(デミオやフィットのクラス)の「軽量」を上手く生かしたコンセプトは、とても魅力的であり興味が湧いてしまいます。

  特にBセグに多いのですが、最近のダウンサイジングそしてエコへとほとんどのクルマが流されている現実に失望しているユーザーを取込むかのように、逆に排気量がアップしているスポーティなモデルが目立ってきました。4mに満たないBセグのボディに直列4気筒の2Lターボを載せて200ps前後の出力を誇る・・・そんなワクワクさせてくれるモデルが今後は各メーカーから続々と登場するようです。その流れを当初に日本へ持ち込んだのは、アウディTTやプジョーRCZのようなスポーティなボディを持つスペシャルティカーでした。それがルノー・ルーテシアを皮切りに一般的なHBのボディに1.6Lターボで200psに達する高性能ユニットを仕込んだモデルが登場し、ルノーの新デザインも日本市場で高く評価され、昨年比でブランドの売上を2倍に押し上げています。

  もっとも本体価格で300万円を超える200psのモデルはそれほどたくさん売れているわけではなく、1.2Lターボのベースグレードが人気の中心なのですが、スポーティなイメージをトップグレードが牽引していて、同クラス(Bセグ)では非常に付加価値(ブランディング)が高いモデルといってもいいかもしれません。VWポロとルノー・ルーテシアのBセグ2台が並んでいたらどちらに惹かれますか? 自動車ライターは異口同音にポロの優越性を主張しているようですが、どちらがより高い金額を払ってもいいと思えるモデルとして考えると、多くの人はルーテシアを選ぶのではないかと思います。

  ワクワクのBセグ&200psですが、日本車メーカーの間ではどうやら御法度スペックのようで、トヨタが限定車として企画した「ヴィッツGRMNターボ」(152ps)や日産の「マーチ1.5NISMO-S」(112ps)などもやや控えめの100ps台前半の数値に留まっています。カタログモデルとしてはスズキ・スイフトスポーツが1.6Lの136psで用意されていますが、日本車でもっともスポーティなBセグがこれです。ちょっと大きめのボディを持つSUVタイプのジューク・ターボ(190ps)がありますが、このエンジンをBセグ(マーチやノート)のハッチバックに積んだモデルがあっても良い気がしますが、日産はその素振りすら見せていません。おそらく何らかの自主規制があるものと思われます。

  輸入車が200psの過激なモデルを用意して注目を浴びる一方で、それをただ指をくわえてみていなければいけない日本車メーカーは少々辛いですね。勘違いした自動車ライターが、ルノープジョーアウディBMWの技術の前に日本車は手も足も出ない!なんて書いているのを何度か見た事がありますし、アホな輸入車好きは本気で欧州のガソリンターボエンジンが最高だと信じているようです。世界で最低とは言わないですが、日本車やアメリカ車で使われる一般的なエンジンに比べれば、決して良いものではないですけどね・・・。

  現在では、欧州ブランドが「生き残り」そして「新規開拓」を意図して、いろいろなモデルを乱発していますが、今も昔も特に欧州車には無茶な設計がチラホラと目に付きます。欧州ブランドのその手の暴走を止めることができるのは、実際のところはアメリ連邦議会くらいでしょうか。米議会で袋叩きにでもされない限りなかなか考えを変えない(=判断力が無い)メーカーも問題ですが、逆にヘンに大人しくなって日本車の劣化版のようなクルマを作られても嫌ですね・・・。どれだけ「安全」という枠組みの中で、欧州流の「ホットハッチ」から、グローバルで将来有望な「コンパクト・ツアラー」へと正常進化できるか?そしてどのメーカーがそれを先導する存在になるのか?という点は非常に興味があります。

  クラスとしてはCセグになりますが、全長4265mmに収まっていて、日本のアクセラインプレッサよりもひと回り小さいサイズの「VW・ゴルフ」に設定されている「GTI」は、この手のクルマを語る時に大きな指標になります。2Lターボを積んだ220psのFF車ですが、シャシーとボディの作り込みに定評があり、出力に負けない堅牢で剛性感あふれるボディゆえのキレのある乗り味は見事です。過剰気味のパワーを持て余すことなく、使い切ってしまう設計・・・これこそが、やたらと危なっかしいハイスペックな欧州車と、エコに奔り過ぎてる日本車の間のバランスを見事に取った「ゴキゲン」なモデルといっていいと思います。

  願わくば、ルノー・ルーテシア、ミニ・クーパーS、プジョー208GTi、アウディS1といったハイパワーBセグにも、ゴルフGTIの水準に近い走行安全性を感じられるモデルであってほしいです。欧州クルマ文化が、日本やアメリカよりも断然に「趣味性」を重視する土壌にあることも承知していますので、安易な批判は控えますが、国土交通省がマナーの悪いドライバーの無謀運転を誘発するような、安価で高出力なモデルの発売を控えるように国内メーカーに指針を出しているのは明確なので、欧州メーカーにもVWのようなしっかりとした「GTコンパクト・ツアラー」を作って日本に持ってきてほしいと思います。


リンク
最新投稿まとめブログ