各社がコストをかけて導入した安全装備がクルマ選びに関してとても重要になってきているようです。中には装備が義務づけられたものもあったりして、クルマの価格は中長期的にさらに上昇していくのは間違いなさそうです。去年の秋から標準装備が義務づけられたものに、「横滑り防止装置」があります。今後の高速道路の制限速度アップを狙ってのことだとは思いますが、導入にはやや疑問があります。オーバースピードによる横転事故は、昨今の居住性を向上した屋根の高いクルマのヒットにより増加傾向にあるそうです。
大型トラックには多重事故防止に備えて90km/hのリミッターが装備されているようですが、他の普通車は相変わらず180km/hとなっています。欧州向けのVWやマツダのクルマでも250km/h走行に耐えられるのは一部のモデルだけで、多くのベースモデルのクルマ(ポロ・ゴルフ・デミオ・アクセラ)では最高速度で179km/h程度なので、トヨタの国内専用モデルで高速を150km/hで飛ばしたら・・・。平坦な直線ならまだしも路面が上下していると、トーションビームの後輪が浮いた瞬間にミューがなくなり、その瞬間にブレーキがかかったら(そしてそこがコーナーなら)、中央分離帯を飛び越えて対向車線に飛び込んでいく事故が起こります(トーションビームの1BOXが多い)。
横滑り防止装置は低ミュー路で重量のあるFRの大型セダンがバランスを崩すのを防ぐために開発されたが、足回りのしっかりしたFFや4WDのセダンにはそこまで必要なものではなかった。しかし日本で装備が義務化されたことで、新型アテンザは横滑り防止装置を標準装備するために、コストダウンを余儀なくされ本来は国産最高レベルの高速安定性があったクルマのサスペンションを変更してしまっては本末転倒ではないかと思います。ホンダとマツダが作っていたFFの4輪DWB仕様のクルマは安全性が高く、世界に誇る素晴らしい日本車なので、このまま絶滅してしまうのは悲しいことです(現行はアコード・オディッセイ・エリシオンのみ)。マツダはRX-8と2代目アテンザの生産終了で、該当するクルマがなくなってしまいました。クリーンディーゼルもいいですが、4輪ダブルウィッシュボーン(DWB)のフラッグシップカーを期待するマツダファンに素晴らしいクルマを作ってほしいと思います。
↓日本車が世界でもっとも優れている(価値が高い)と示さなければ、日本でクルマを作る意味なんてないですよね。日産もマツダも魂を失ってしまうのか? テレビと違って安全性が重要視されるクルマだから日本製やドイツ製が人気があるわけで、そこを勘違いしてコストダウンに走るなら日本でクルマを作るなんて無意味だからやめてしまった方がいいと思うのです・・・。