日本市場は一体どれくらい安い価格で『新車』が買えるのか!?
普通車で最も安い価格なのは、ダイハツブーンで税込115万200円。日産マーチも115万円台になっていてここが最前線。軽自動車ではダイハツミライース/トヨタピクシスの84万2400円が底値。ライバルのスズキアルト/マツダキャロルも84万7800円で応戦しています。単純比較はできないですが、日本よりも物価水準が高く、ドイツ車も日本より一般的には高値となっているイギリスにおいて、VWグループシュコダのベースモデル『シティゴー』は8600英ポンド程度で売られています。
日本メーカーがカルテル臭いことをやっている!?というつもりはないですけども、明らかに過当競争を避けている節はあります。もし日本市場に近い将来、近隣のアジア諸国で生産されるシュコダ/セアトがやってくるとしたら、結構面白いことになるんじゃないでしょうか!? 欧州では仁義なき過当競争にさらされて、シュコダ(VW陣営)/ダキア(ルノー日産陣営)/マジャールスズキの東欧三雄が、西欧市場でオペル、ローバー、サーブを薙ぎ払って行きました(オペルは再建された)。日本市場にもこの波はやってくるのか!?
市場最廉価モデルは「自由であるべき」
先日の東京MSでダイハツから新型ミライースのMT版が発表されるかも!?とちょっと期待してたんですけどね。詳しくない人のために書いておくと、ミライースは日本の軽自動車で最も安いモデルになっているわけですが、もともと軽自動車の世界では非常に素性がいいとされるダイハツの操縦性や剛性の高いボデーをベースモデルながらもしっかりと受け継いでいながら、第三のエコカーとして登場したモデルです。オリックスレンタカーなどで軽自動車を借りるどこのミライースが出てきますが、ちょっと乗る分には非常にワクワクするクルマです。
今年に入ってFMCが行われていて、さらにステアリングやシートの取り付け剛性が高くなって、満足度がさらに高いクルマになっています。ダイハツにとってもホンダの軽自動車に押され、シェア奪取を至上命題に非常に気合の入っている時期だったこともあって、なかなかお買い得なクルマになっているわけです。ただし残念なことに新型は全グレードがCVT車。5MTを装備するモデルには旧式の『ミラ』がまだ使われています。このモデルはダイハツブランドでは『ミラ・Xスペシャル』、スバルブランドでは『プレオ・Fスペシャル』と名付けられていて、スポーティな走りを好む人を視野に入れた展開をしています。
日本メーカーは実力で勝負しろ!!
せっかくミライースがライバルを凌駕する走りを手に入れたのだから、これにMTモデルも設定して広く市場に訴えることで、ホンダへの逆襲が始まると思っていたのですが、東京MSではまさかのスルー!!なんで!?そもそも底値の軽自動車は5MTで売るのが定番なのに。ちょっと気になるのが親会社格になるトヨタが『GR』とかいう謎のスポーツブランドを立ち上げたこと。トヨタの廉価モデルをスポーティにチューンして300万円かそれ以上で売るという企画なんですけども、このブランドの大事なスタート時期ゆえに傘下のダイハツにストップがかかったのでは!?
新車の購入価格はだいたい年収の3分の1が目安。300万円オーバーのスポーツカーを買うのは年収1000万円級の人々。一方で80万円のミライースなら、年収240万円のフリーターでもOKなんですけどね。1000万円を稼ぐ人か、それと同じくらいにお金を使う連中にトヨタが用意したスペシャルなクルマを買わせるために、年収240万円か、それくらいの質素な生活を好む人々のためのミライース5MTの発売が遅れるのは、ちょっとやるせない気分ではあります。
やはり日本市場は風通しが悪い。地勢的に仕方がないところもあるでしょうけど、日産&三菱の合意で余剰になった工場を1つVWグループが買い取って、現地生産してみてはどうでしょうか!? トヨタとマツダが共同でアメリカ国内に新工場を建てるみたいに、VW/シュコダ/セアト/アウディが合同で三菱の岡崎工場でも買い取ってしまえばいい。シティゴー/アップやA1/ポロ/ファビア/ラピードを混流生産して、日本市場にばら撒いて欲しい。『シティゴー』と『ミライース』あるいは『Nワン』はどっちがよく出来ているのか!? もっと風通しがよくならないと日本市場は盛り上がらないと思う。