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はてなダイアリーで書き殴っていた自動車に関する放言記事を1つのブログにまとめました。

86やロードスターの根本的な弱点とは?

  別に某社のキャッチコピーをわざわざディスるつもりはないですけども、「スポーツカーは文化だ」というメッセージにどう反応してよいのか?しばしばとまどう時があります。一切のスポーツカーがこの世に無ければ、クルマに対する感情はだいぶ変わったものになるであろうことは容易に想像できます。日清戦争の頃に世界で最初の自動車が作られて、その後フォードによって大量生産が始まる20世紀を待たずに欧州ではクルマのレースが始まっていたそうですから、量産車が登場するずっと前からスポーツカーがあった!つまり人間にとってクルマは「便利」である前に「闘争」のものだったわけです。

  さて先ほどのキャッチコピーですが、一体スポーツカーのどういう次元の話なんだろう?そう考え始めるとなかなか気になって夜も眠れないです。イタリア、イギリス、アメリカ、ドイツといった自動車産業を立ち上げた先駆的な国々とともに、日本もその発展に大きな影響力を及ぼしつつも世界中の人々を楽しませてきた!!というくらいの意味だとは思うのですけど。ちょっとひっかかる点が・・・。

  メルセデスBMWなどといった老舗ブランドが操業100年を越えて、トヨタ2000GTやマツダコスモスポーツ(初のロータリー量産車)がデビューしてから来年で50周年になります。ここまでくればもう立派な文化ですね。確かに日本車も旧車の価値が年々上がってきています。

  日本のスポーツカーも堂々と半世紀を経過して、これからは「ルネサンス期」に突入しますよ!!そういうニュアンスでの「文化」というならば素直に期待したいです。かつてないほどに若者がクルマに熱狂した90年代を再現するようなスポーツカーの復活をファンは異口同音に求めています。ただし道のりはとても険しくて、安全面を十分に考慮すると完全復活はとても不可能とか説明する人もいます。

  要は車体が軽くてエンジンは適度なパワーで、できればリトラクタブルヘッドライトを備えていて、さらにアフターパーツが豊富で個性的な1台が作れれば、それなりに納得してもらえるとは思いますけども、それを200万円程度で採算ベースにのせるのがこれまたとても難しい・・・。AE86が作られた頃みたいに100万円台そこそこのFRのベース車があればいいですけども。

  複数のメーカーがお金を出し合って汎用のFRシャシーを作る!現実問題としてこれしかコストの壁を低くする方法は無いようです(ユーザーとしては何も文句はないですけども)。そしてすでにここ数年の間にもトヨタとスバル、マツダフィアットが組んで実際に新しいスポーツカーを作っています。それからスポーツカー用のシャシーではないのですが、ルノーメルセデスは協力してRR(リアエンジン・リア駆動)の小型モデルを完成させました。スマートはすでに日本でも発売されていて、まもなくルノー・トゥインゴも発売されるようです。これにルーテシアRS用の200psのエンジンが搭載されたら「リアル」AE86ですね(ターボだけど)。

  スポーツカーは文化です。・・・その言い分に嘘はないですか? 果たしてそうアピールするメーカーが作っているクルマは「リアル」スポーツカーなのか? 結局のところはそのメーカーの「範疇」でスポーティなクルマを作っているだけなんじゃないの? 市販車を多く生産して、世界中の市場で高い競争力を誇っている日本やドイツの大手メーカーは、それぞれ独自に「設計のコンプライアンス」みたいなものが用意されています。そしてその基準に適合した部品のみを使うためにサプライヤーに強要します、つまり彼らの「安全基準」を大幅に逸脱するような極端なモデルは生産できない決まりになっているようです。

  イニシャルDのファンは「AE86を忠実に再現しろ!!」と言うでしょう。もちろんデザインではなくて走りの面でです。しかしそれはもはやトヨタ、スバルのコンプライアンスからみれば完全に「アウト」な設計なのだと思います。「文化」を大切にしたい気持ちはあるけども、そこには現在的な価値(制限)を付けて再現せざるを得ない!という立場を採っているメーカーが多いです。マツダでさえも「忠実に初代を追求した!」と言っていますが、やはり設計の大前提が25年経って大きく変わってしまっている現実はとても隠しようがないです。

  ロードスターも86も専用設計シャシーというだけで、いくらか評価が甘くなってしまいますが、乗ってみて「リアル」な要素はそれほど感じられません。もちろんトヨタマツダがそれぞれに自信を持って送り出しているわけですから、乗用車とは「大きく」違うドライビングフィールこそしっかりとあります。しかしそれは「決定的」に違うというものではないです。トヨタマツダのディーラーには老若男女が出入りしますから、そこで販売する限りは、どうしても「誰もが愉しめるスポーツカー」というスタンスから逃れられません・・・75歳のじいさんが運転しても大丈夫なクルマであることが求められます。そんな手軽なクルマを見て、じいさんは喜ぶでしょうけど、本物志向のクルマ好きの若者にとっては・・・ツマラナイということはないですけど、やや距離感が難しいです(積極的には欲しくない!)。

  頑張って働いて溜めたお金でクルマを買うならば、もっと超絶なクルマを選びたいです。それを老若男女が出入りする普通のブランドで求めるならば、アウディR8とか日産GT-Rとかいったスーパーカーになります。これはあまりにも経済的な負担が大き過ぎますよ。そこで提案ですが、トヨタマツダには「リアル」スポーツカーのための専門チャンネルを仕立てて、間違っても一般人のおじいちゃんがやってこないような隔離されたスポーツブランドの体裁を採ってみてはどうでしょうか? どこかの有名チューナーを傘下に収めてみるのもいいでしょうけど、「TRD」「マツダスピード」を世界に向けて展開してもいいと思います。

  単なる「カッコつけ」ではなくて、このブランドでは「自己責任が原則です」みたいな誓約書を書かせて、トヨタマツダの基準を超越する極端なモデルを提供してはどうでしょうか。ABSは外してあってそのかわりに「ジャングルジム」が標準で付いてくるとか・・・そこまでストイックにやり抜いた上での「スポーツカーは文化です!」宣言ならば、何の問題もなくぐっすり眠れそうですけどね〜・・・。


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