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はてなダイアリーで書き殴っていた自動車に関する放言記事を1つのブログにまとめました。

お手軽価格だけど、存在感抜群な中古車はこれだ! その2

  前回に引き続き中古車だけど存在感抜群のクルマとは何か?もついて考えていきたいと思います(私の暴論を押し付けるだけですけど)。中古車ディーラー業界は今も新規参入が相次ぐなど全国で好調なようで、新車も扱うメーカー系の他に、軽自動車専門や輸入高級車専門などのジャンル分けが進み、来店しやすい品揃えのものも多くなっているようです。

  ほぼ全てのクルマが中古車市場で手に入れられるわけですが、やはりその中で古さを感じさせずに特別な存在感を放っているクルマは、やはり各ブランドのフラッグシップ車が圧倒的に多いです。あまり良い例ではないですが、歴代の日産ティアナよりもスズキ・キザシの方が、フラッグシップサルーンとしての格調高い風格が出ているように感じます(個人差あり?)。やはりスズキ系列ディーラーなどの関連会社の経営者が乗るクルマですから、デザイン・性能における作り込みはかなりしっかりしているだろうという安心感が滲み出ています。

  よってスズキ・キザシを中古で購入するというのも、かなり有力な選択肢となります。しかしこのクルマは街中で見かけることはほとんどないことからも解るように、中古車もそれほど値崩れしておらず、新車で300万円で乗れるクルマが中古でそれなりの状態のものを選ぶと180万円くらいします。これでは同年式のティアナと比べても相当に価格は高めで、さらに中古で180万円となると、わりと状態の良いクラウンが買えるほどなので、なかなかキザシの魅力を理解して買うという人は少ないようですが・・・。

  
  また「高級車のスズキやホンダはちょっとな・・・」というセダンユーザーは多いかもしれません。しかし私が思うに「セダンの本質」というものを十分に理解して、それに忠実なセダンを作っているメーカーの代表格として挙げられるのがこの2メーカーです。お手頃価格なコンパクトカーや圧倒的なパッケージ力を誇るミニバンを買わないで、セダンを選ぶユーザーはセダンの何に魅力を感じているか? 異論もあるかもしれませんが、やはりセダンの最大の魅力とは1にも2にも「安全性」だと言いきれます。現実に日本でもアメリカでも欧州でも常に頭一つ以上抜けた安全評価を獲得しているのがミドルサイズのセダンです。

  一部の愛好家の反感を買うかもしれないですが、高級セダンをローダウンして乗り心地を犠牲にしたり、過激なキャンパー角(鬼キャン)仕様にして直進安定性に重大な問題を起こさせるといった乗り方をしていては、せっかくの「安全性」が全く損なわれています。そういうクルマを見かけると、「なぜセダンを選ぶの?」と率直に疑問に感じます。そんなクルマもういないだろ?・・・なんてことはないです。東京から30~60分程度クルマを西に走らせて、周囲のクルマのナンバーが「八◯子」や「所◯」ばかりになってきた地域では普通に見かけます。S15シルビアや34スカイラインが今でも目立つクルマ文化が豊かな地域ではあるのですが、トヨタ派(70系80系のマークⅡ、チェイサー、クレスタ)は不思議と「鬼キャン」が多いです。

  あくまで想像で恐縮ですが、そんな「鬼キャン」を実際に見たら大爆笑するであろう輸入車セダン乗りも、クルマ選びのセンスに関しては同じようなものかもしれません(大変失礼ですが)。軽量化がやっと進んできたとはいえ、まだまだ車重が嵩んでいて基本的に自爆に弱いという特徴がある欧州メーカーのセダンは、80年代の「質実剛健」のイメージを大きく崩しています。年々厳格化される欧州・米国・日本の衝突安全基準(NCAP)において、ボルボを除いて非常に低いスコアを叩き出すようになってきています。フェアに言うならば、スカイラインHVなど日本の主要メーカーが国内市場で推進しているHV装備によって重くなったミドルセダンも軒並みスコアが低下していたりするのですが・・・。

  例えばメルセデスEクラスは見た目にはゴージャスで、典型的な高級車の風格かもしれないですが、セダンというボディタイプが持つ尊厳・美徳を持っていると見せかけておいて、ことごとくそれらを放り出してきている問題作といってもいいかもしれません(もちろん優れた点もありますが)。NCAPが発表されるたびにライバルに比べて不満の残る結果になっている近年のメルセデスは、セダンに新たなる価値観を注入しようという意図が見えるのは確かですが、それが必ずしもいいクルマ作りかというとやや難しい気がします。

  メルセデスのクルマ作りを否定するつもりはありませんが、他のボディタイプに比べて抜群の「安全性」と「乗り心地」こそがセダンの本来の魅力であって、ユーザーの用途とクルマが持つ性能が合致することが理想のクルマ選びとするならば、メルセデス車が持つ「虚構」は、クルマを知らないユーザー層をその気にさせる薄っぺらさが漂っているように思います。一般的ユーザーのほとんどがそんなこと考えずに乗っていて、だから決して安全ではない軽自動車・コンパクトカー・ミニバン・SUVが売れる!という意見もあるでしょう。しかしクオリティカーをあえて選んでいるのに、それが「虚構」というのはあまりにも虚しくないですか? 繰り返しますが、ボルボS60以外に日本のグローバルで展開されるミドルセダンに対抗できる安全性を誇るセダンは無いです。

  確かにスズキ・キザシは警察の捜査用車両として多くの都道府県で使われているので、敬遠したいという気持ちはなんとなくわかります。しかしこのクルマこそが、世界の安全基準の頂点に位置するのもまた事実です。ボルボS60、日産スカイライン、ホンダアコード、スバルレガシィマツダアテンザといった世界の全地域で最上級の安全評価を勝ち取っているセダンの上に君臨しています。スズキはこのクルマをアメリカ向けに作りましたが、GMとのドロドロの確執劇があって不幸にもこのクルマは主要な販売市場を失ってしまいました。

  オマエは何が言いたいのか? とイライラされている方もおられるでしょう。結局のところクルマは工業製品であり、フェラーリランボルギーニといったスーパーカーや、ザガートやルーフといったカロツェリアやチューナーが仕上げたワンオフモデルでもない限りは、周囲の人に大きな感銘を与えることなんて難しいです。800万円くらいするドイツ車に乗ったところで、クルマに変な憧れを抱いた若造と頭空っぽの「痛い」女性はちやほやするでしょうが、一般の人からは路上では馬鹿にされるのがせいぜいです。そんなクルマよりもプリウス&アクアや新しく登場したミライの方がよっぽどスマートなわけです(いちいち理由は言いませんけど・・・)。

  「何でみんなプリウスに乗るのか理解できない」とか言っているクルマ好きがたまにいますが、自分の頭の悪さにいい加減に気がつけばいいですね・・・。これからの時代はプリウスよりも正当性・乗る理由が備わっているクルマしか生きていけません。日本の自動車メーカーはトヨタに安全基準で抜かれたらそこでゲームオーバーです。ミニバンとSUVプリウスよりパッケージ効率が良いですし、コンパクトカーの多くはプリウスよりランニングコストが安いです。だから日本で売れています。日本にやってくる欧州車がほとんどヒットしない理由は、この「プリウスのハードル」をまともに超えられないからだと思います。「輸入車である」という極めて抽象的でどうでもいい価値を喜ぶ人はまだまだいるようですが、もうそんな時代でもないですよね?


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