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はてなダイアリーで書き殴っていた自動車に関する放言記事を1つのブログにまとめました。

日本車とドイツ車が真剣に対峙するから熱いわけです。

  年末に届いたルボラン2月号は、例のごとくドイツ御三家のカタログ的な特集です。2016年に新たに発売されるモデルの展望など、興味深いページも豊富にあるのですが、なんだかドイツ御三家だけが並ぶ誌面がやたらと退屈です。とりあえず新車を買うなら絶対にこの3ブランドから選ぶ!という感覚の読者もまだまだ多いのかもしれないですが、クルマ選びの特集にしては「視野が狭くなりそう」という印象が拭えません。同じジャンルの3台が1枚の写真の中で並べられているのを見て、「まあ良く似ているね・・・」という感想を読者に持ってもらおう!という企画なんですかね。それともどれを買ってもあまり大差ないから、値引きで頑張ったところから買いましょう!ってことを伝えたいのでしょうか。なんだかぼんやり見ていると、「これアウディ?いやメルセデスだった・・・」みたいな軽い取り違えも起こります。

  けれどもここに比較対象としてレクサスとかキャデラックとか差し込まれると、妙に変な間合いになってしまうんですよね。おしとやかな女の子3人組に、見た目で完全に浮いている帰国子女が1人混ざったような集合写真になっちゃいます。顔つきやサイドのややウルサイ造形が、完全にドイツの流儀とは違うものになっていて、平均的でバランスが取れたドイツ御三家に対して、レクサスもキャデラックも米中的なマーケティング仕込のデザインが気になるかどうかで好き嫌いが大きく分かれやすいです。

  それでは日産(インフィニティ)やマツダを混ぜてみたら? コイツらはですね、出しゃばりデザイナー(中村&前田)の思想が強過ぎるせいか、やや「国粋的」というか、ポリシーがデザインに出過ぎちゃっている。「日本的こそ極限の美!」という意識をぐりぐりと押し付けてきます。一方でドイツ御三家のデザインは良くも悪くも「自然(ナチュラル)」です。

  ボルボジャガーを混ぜるのが一番ソツないのでしょうけど、ボルボジャガーはここに混ざると損しますね。ボルボは意外に高い!ジャガーは意外に安い!ってことがハッキリしてしまってどちらにとってもマーケティングに差し障りがあるはずです。なんだかんだで日本市場に一定のボリュームを持つドイツ御三家って、輸入車ブランド同士の比較ではやはり優秀です。ボトムグレードで比較すると200万円台に突入しているドイツ勢に対して、ボルボV40の価格はやや強気(高い)です。そして1000万円を下回るイメージリーダーのジャガーFタイプが、2000万円クラスのi8、R8、GTに混ざって比較されるのはジャガーブランドにとって得策ではないでしょう。

  「ドイツ御三家はやっぱり地味だな・・・」とか言いつつパラパラと見ていると、ふと自動車グラビア雑誌「ルボラン」ではなく、ドイツ自動車工学の本でも読んでいる感覚になってきました。飛行機や蒸気機関車から時計、カメラに至るまでドイツ工業製品の特徴を紹介した本はたくさんありますけど、これもドイツ御三家のルーツとしてドイツ製品が信条とする機能性とデザインが両立した「美」の極致を余すところなく伝える趣向の本だと思えばなかなか楽しいです。機能性といえば日本車も決して負けてないはずですけども、これがトヨタ・ホンダ・日産の最新ミニバン&SUVの内装を逐一解説する内容の本だったら、それは相当に退屈だろうな・・・。

  ということで、ある意味で面白いので永久保存版にする予定の「ルボラン2016年2月号」ですが、改めて3ブランドのラインナップの類似性をエンジンスペックなどから眺めてみると、ドイツ車はやっぱりドイツ車だな・・・と思いますね。円熟期を迎えた自動車製造業も、グローバル・サプライヤーによって供給される汎用性の高い部品がどのメーカーでも使われるようになって、ドイツも日本も同じようなクルマを作る!・・・と思いきや、日本メーカーとは全く噛み合ないようなクルマがむしろ増えています・・・。ドイツの高級車の乗り心地がだんだnクラウンに似てきているという感覚を持っていたのですが、ドイツ車自体は日本車と一定の距離を持って作られていて、その乖離がまた大きくなってきているのかな。ハイブリッドとディーゼルといった大きな分かれ道もありますが、それよりもクルマの「使い道」の部分でだいぶ違うように感じます。

  例えば、日本メーカーは流行の小型SUVの開発において、車格を意識させないような凝ったデザインを盛り込んで高級感を演出してきますが、ドイツメーカーの小型SUVは良くも悪くも「素」です。御三家に関してはブランドのヒエラルキーを意識してのことだとは思いますが、GLA、Q3、X1の3台はどうもデザインの「やっつけ仕事」感が・・・。とりあえずこれらクラスのクルマを買うくらいなら、レクサスNXにしておくのが無難なのかな・・・もっと日本とドイツで意地の張り合いとか期待したいのですが、どうもドイツ勢にやる気が感じられないです。セダンにしても同様で、レクサスや日産は高級セダンの象徴としてV6の300psオーバーがデフォルトになってますが、ドイツ勢はとりあえずまともに動く程度のダウンサイジングターボを中心とした「モノクラス仕様」・・・そしてコレ以外のモデルは完全に例外扱い。やっぱり最初の考え方がだいぶ違うんだなと思わざるを得ません。

  レクサスは「IS」に凝ったデザインを与えてプライベートカーにしましたけど、BMWでこれに相当するクルマとなるとだいぶ価格帯が変わってくる「4シリーズグランクーペ」でしょうか。そして実直なデザインの「3シリーズ」に「使い方」という意味で相当するのは、実際のところ「レクサスHS」になると思います。評論家は盛んにレクサスがドイツブランドを追従している!と煽りますけど、本当にそうでしょうか?トヨタBMWは今ではパートナーシップの関係にありますし、日産とメルセデスも同じような関係です。それぞれにマーケットを分け合い、新興国を中心に需要が増えると予測されるプレミアムカーの開発コストを低減させるために協力しますし、余計な過当競争を避けているのではないか?と勘ぐりたくなるくらいにどの陣営からもあまり「野心」を感じません。

  最近のレクサスは血の気の多過ぎる評論家はうっとおしいだけなので、試乗会にすら呼ばないらしいですね。福◯礼◯郎さんや森◯太さんみたいな、信者を抱えている「権力者」に、「エンジンの噴けが」とか「応答が」などとやかく言われるクルマなんて最初から考えてないですよ!ってことらしいです。「GT-RやらWRX STIやらポルシェやらと同じ土俵で容赦なく語らないで! 価格が同じくらいだからっていっても想定しているユーザーが全然違いますから。」なんて声が開発者からは上がっているんでしょうね・・・。

  今回ルボランを見ていて思いましたが、やはりドイツ御三家もレクサスと似たようなスタンスが見受けられて、どうも「テンションが低い」です。1000万円越えているからといって、一級品の走りをするわけではなく、あくまで「高級車の一つの形」で、なんらそこに「意図」や「コンセプト」があるわけでもなく、車体とユニットの組み合わせの結果による価格設定・・・これはなんだか寂しい限りです。そして2000万円越えているからといっても「ポルシェやフェラーリの完成度には無い!」なんてはっきり書かれてしまっています。しかも一番言われたく無いヤツ(ライター)に・・・。うるせ〜黙れ!日本の恥だ。

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