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はてなダイアリーで書き殴っていた自動車に関する放言記事を1つのブログにまとめました。

お手軽価格だけど、存在感抜群な中古車はこれだ! その1

  クルマのカタログをパラパラめくっていると、最近の日本車はどうしたことか輸入車並みの価格設定!?で全くお得感がないクルマが多くなったなと、ちょっと悲しいため息が出てしまいます。評論家は「デミオがいい」「WRX S4がいい」なんて調子のいいこと言ってますが、実際にそれを買って相棒として数年間をともに過ごすことをリアルに考えると、いまいち良さが解らず決断に踏み切れなかったりします。デミオなら200万円、S4なら400万円はしますが、果たしてそれに見合うだけの魅力を秘めているのか?・・・かなり微妙です。

  デミオやS4を街中でも見かける機会が増えてきました。まあいろいろ意見があるとは思いますが、たいてい乗っているのは老人で、その光景から思わず自動車メーカーの狙いが透けて見えてきます。なによりも優先されるのは高齢者に使い易いクルマであること!なんていうメーカー極秘のコンセプトがハッキリと理解できる瞬間でもあります。しかしそれを見せつけられた現役世代にとっては、必ずしも好印象ではありません。自動車雑誌での過剰気味な盛り上がりと、街中での現実の姿には大きな乖離があることがよく解りますし、そもそもライターの多くは高齢者でした・・・。現役世代にとって200~400万円なんて簡単に支出できる金額ではないのですが、頑張って捻出したところで端から見てそれは「羨ましくもなんともないクルマ」つまり実用車・オタク車でしかなかったりします。

  デミオもS4ももちろんどちらも素晴らしいクルマだと思います。デミオはかなり高度に洗練された「実用車」ですし、S4はスペック大好きな人々の嗜好をしっかりと押えた「オタク車」です。しかし高度に都市化が進んだ地域に在住する人々にとって、「実用車」という概念がそもそもナンセンスです。なぜならクルマ自体がすでに「実用的な存在」ではないからです。私の体験する限りでは、都市部で1人でクルマを使う用事はかなり限られていて、せいぜい買い物や図書館に行くくらいです。しかし今では都市部のほとんどの地域で生鮮食料品が当日に届くネットスーパーが玄関先まで営業にやってきます。図書館で本を10冊借りるときには確かにクルマが役にたちますが・・・。

  極論すれば多くの現役世代の人々にとって、クルマとは「コミュニケーションツール」です。ラインやメールといった従来のコミュ・ツールが過度に発達した結果、人間関係も様々なレベルでのつながりが成立するようになり、同時につながりが広くなりすぎて、「つきあいの選択」を迫られるケースも増えているように感じます。最近の啓発本には「無駄なつきあいはどんどん断れ!」みたいなことも書いてあったりします。まあ確かに全ての相手と定期的に飲み会の席を設定してなんてとてもしていられません。軽く飲んでいるつもりが話が盛り上がってしまい割り勘で6000円・・・なんてこともしばしばあります。

  もっとシビアな話をすると、飲み会での費用対効果を気にする人は着実に増えていますし、たとえ自分は良くても相手は「カネと時間がもったいない・・・」と思っているかもしれません。「同じ趣味」「恋愛感情」というような理由があれば別ですが、そういうものなしにメールだけで何ヶ月も親密に交際するのは物理的に無理がありますし、かといって頻繁に食事の席を設けるのも負担が大きいです・・・そんな悩みを持つ人々にとって、かなり理想的な解決手段が「クルマ」だと思います。すれ違い気味のカップルにとっても「クルマが鎹(かすがい)」というケースも多いと思います。

  あくまで私(東京西部在住)の主観にすぎませんが、クルマにとってもっとも大切なのは「実用性」でも「趣味性」でもなく・・・「コミュニケーション」です。飲食店を選ぶ際に相手が喜んでくれる店を探すように、クルマの大前提というのも「相手が喜んでくれる」点にあります。相手をもてなすクルマという観点からみると、失礼ですがデミオもS4もとてもファーストチョイスにはなれないクルマと断言できます。大切なのはクルマに乗る事で得られる「非日常感」「上質感」「ファッション性」といった要素を兼ね備えていることです。そしてそういうクルマを専門的に扱っているのが「レクサス」「ジャガー」「マセラティ」といった日・英・伊を代表するラグジュアリーブランドです。しかしこれらのクルマをまともに買ってそれを維持するくらいならば、飲み会の席で常に全額奢っていた方が断然に安上がりだったりしますが・・・。

  これらのブランドのモデルと同じくらいに「刺激的」で注目されるクルマも中古車で選べば、200万円以下でも十分に良いものがあります。あくまで私の独断と偏見ですが、このクルマならば絶対に馬鹿にされない!といったコスパ抜群の「使えるコミュニケーションカー」を幾つか紹介します。

  まずは「ホンダ・レジェンド」です。1990年代までのドイツ車は基本設計に優れたものが多く、トヨタもホンダもドイツ車を真剣に研究し、それを上回る上質な高級車を作ることに今以上の積極的だった時代がありました。2004年に発売されたこのレジェンドは、日本では発売当初しか注目されなかったですが、同じような駆動方式を採用するアウディの上級車を軽く上回るほどのハイテクを駆使した「スーパーラグジュアリーカー」として日本車の中では貴重な存在です。来年初頭には新しいレジェンドが登場しますが、発表されたスペックを見る限りだと残念ながらライバル・トヨタのお株を奪うような「コストダウン」が随所に見られます。車重が2000kgに迫るのに後輪ブレーキからVディスクが外されるなど、結構致命的な「?」があります。

  その一方で2004年発売の先代レジェンドは晴れ渡るような快作だったと思います。発売当初は620万円という価格設定が全く受け入れられず、多くのセダンユーザーはE90の3シリーズ(430万円〜)へと群がったようですが、乗り比べると200万円の価格差以上?にE90とは走りの次元が全く違うと感じます。あきらかにヘビーなレジェンドですがBMWのお株を奪う足回りの充実度で、ハンドリングのスポーティさで十分にE90に肉薄しています。エンジンのバリエーションがあるE90なので加速や最高速においては単純には比較できないですが、それでもレジェンドはドイツ車相手に高速安定性でも完全に上回っていて、その安定感は当然ながら乗り心地の良さにつながっています。

  たとえBMW基準で性能を考えたとしてもクルマの素性は抜群に良いですし、さらに強調したいのがスタイリングの良さです。歴代レジェンドはどれも抜群のスタイリングを誇っていて、一説によると1994年発売のE38系BMW7シリーズは1990年発売の2代目レジェンドのデザインを「参考にした」と言われています。余談ですがその後、BMWのスタイリング全権を握った異才・クリス=バングルによってE38の後継となるE65は「異次元のデザイン」が与えられ、世界中のBMW愛好家から未曾有の「大反響」を受けました・・・。しばしばそれは保守的な愛好家とクリス=バングルのどちらが正しいか?という議論にもなったようですが、結論として大多数のBMW愛好家は「レジェンドに似た」E38系7シリーズのデザインを強く支持していたようです。

  私の個人的な意見としては、このBMWのデザイン論争に関しては極めて中立的な立場です。もちろんクリス=バングルの類希なる才能も十分に評価できます。そして2004年発売の4代目レジェンドのデザインは?というと、バングルが2001年に世界を騒がせたE65からの影響をあれこれと感じることができます。BMWもホンダも21世紀に相応しいフラッグシップ車としての方向性を模索するという「宙ぶらりん」の状況の中で、なかなか味わい深いデザインにまとめたと思います。

 続きは次回にします
「なる・はや」で続編を書きます・・・

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