「FFのミドルサイズセダン」は一生懸命作らないと、日本ではなかなか売れないようです。アテンザとアコード以外にもカムリHV、ティアナ、キザシの5台がそれぞれのメーカーから発売されています。これらFFセダンは日本車のアメリカでの躍進の象徴で日本の「お家芸」いえる車種です。よくメディアでヒュンダイソナタやVWパサートが凄いと言われますが、全米の販売台数を比べたらカムリ、アコード、アルティマ(ティアナ)の足元にも及びません。しかし日本ではやたらと影が薄くなってしまいます。
ちょっと乱暴な言い方をすると、日本ではこれらFFセダンの立ち位置は、「BMW3とミニバンの間のどこか」として認識されることが多いような気がします。BMW3と比べられるようなモデルもあれば、ミニバンと同じエンジンで重心が低くなって狭くなっただけと評されるモデルもあります。BMW3とミニバン(オディッセイみたいのは除く)がほぼ同じとは多くの人は思いませんし、その差はとても大きいと考えるのが普通だと思います。
日本の公道を流れに乗って走っている限りは、BMW3だろうがミニバンだろうがどっちでもいいのですが、いざ300万円を払ってFFセダンを買うとしたら、多くの人はミニバンに近いクルマより、BMW3に近いクルマが欲しいと思うはずです。なのでこれらのFFセダンを売る為には、なんとしてもBMW3と対等に競り合うポイントを作らなければなりません。しかも少なくとも「居住性」と「燃費」の2点はBMW3に絶対に負けてはいけません。ここで負けているようだとおそらく日本人ユーザーの選考から外れてしまうでしょう。
アコードもティアナもHV専用車種になって今年出直しを図るので、カムリHVもアテンザも含めてBMW3を燃費で上回りますし、車体が大型でFFなので室内も広くなっています。とりあえず4台ともスタート地点には立てそうです(キザシは脱落)。あとはデザインの好みの問題で、F30BMW3より好みのデザインなら買ってもらえるはずです。日産やホンダのこのクラスのクルマは、内装の作りなどは絶対にBMWには負けないはずです(新型はティアナもアコードも売れると思います)。先行しているカムリHVもアテンザもかなりデザインを頑張ってきたので、それが販売好調の結果となって表れているようです。2013年は日本のFFセダンにとって新たなブームの始まりになる予感がします。
↓プレミアムブランドも真っ青になるほど、快適・安全装備を標準で載せてきた新型アテンザは新たなスタンダードになれるか?