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はてなダイアリーで書き殴っていた自動車に関する放言記事を1つのブログにまとめました。

BMWベースブランドのセダン・クーペはもう日本から撤退でいいと思う

  最初に断っておきますが、私は日本で展開される輸入車ブランドの中でBMWが最も好きです。その理由は私を含め多くの日本人が享受している楽しいカーライフが実現するにあたって、直感的にとても大きな影響力があったであろうブランドがBMWだからです。今や日本で発売される上級グレードのクルマの設計思想には「運転することの楽しさ」が当たり前のように意図されていますが、そういうトレンドを作り出したのはBMWが日本において特別なブランドであり続けたことがとても大きいと思います。

  レクサス、日産、スバル、マツダといった日本のブランドはグローバル展開するモデルを作りだした2000年頃から、国内専用車に課せられた自主規制の鎖が無くなり、ユーザーの目的の沿った多様なモデル展開をするようになりました。発達した高速道路網を駆使して長距離を快適にこなすグランドツーリングカーを作る技術も、この15年余りで飛躍的に進歩しました。アコード、スカイラインアテンザレクサスISといったモデルが常にお手本として挙げたのがBMW3シリーズでした。

  「もはや3シリーズは日本車の敵ではない!」というのは日本人らしからぬ放胆で敬意を欠いた発言かもしれないです。しかし2000年代を通じてブランドにあぐらをかいてきたBMWは、日本の顧客とじっくりと向き合うことを軽視してきたと言わざるを得ない所業を積み重ねてきました。いくらBMWの過去の実績が素晴らしいといっても、現代の日本人が500万円払って日本メーカーの水準に遠く及ばない「内外装のクオリティ」「劣悪な騒音・乗り心地」「取り柄のない直4ターボ」「不要なランフラットタイヤ」といった突っ込みどころ満載のクルマを買う理由はありません。

  直6から直4に変わっても据え置かれる価格・・・。塗装や電装部品の貧弱さ・・・。前後にVディスクを配しても日本車に完敗する制動距離・・・。それでもクルマのことが分ってない情報弱者な日本人にブランド力だけで売りつけてなんとか命脈を保っています。BMWの新型車の評論を読むとあらゆる評論家が様々なサイズのモデルに乗っているのに、論点はどれも同じで「8ATのなめらかさは素晴らしい!」・・・。それは結構なことですが、それってスポーティを信条とするブランドにとってそれほど大切なことですか? 500万円払って8ATなんて珍しくもないミッションを有り難がるだけのクルマは理解できません。

  スカイライン200GT-tを、320iとほぼ同じ価格で発売した日産からみれば、意味不明な指標を作ってくれてるBMWの存在は戦略上とても重要になっているようです。BMWの同クラスと同じ価格帯に設定するなんて、ひと昔前の日本車ならばあり得ないことでした。V35スカイラインを北米インフィニティで販売しようと打診したときには、現地の販売担当から「2万ドルなら・・・」と3シリーズ(3万ドル〜)を大きく下回る価格が提示されたらしいですが、その後の北米での競争で3シリーズを凌駕したスカイラインは今では北米でクラス最高の価格が付けられるようになりました。

  日産の日本価格は北米価格並みですからとても良心的なのですが、この2Lターボのスカイラインだけは、3シリーズの日本価格を前提に付けられた割高感があります。BMWに罪があるわけじゃないですが(買う方が悪い)、いつまでもつまらない3シリーズを日本でダラダラと売り続けることで、他のブランドが調子に乗って価格をどんどん上げる傾向が見られます。日産やレクサスだけでなく、ホンダ、スバル、マツダも「3シリーズより乗り心地いいですよ!」とばかりに強気に出てきそうです。

  それとは別に最近のトレンドとして、従来の「プレミアムブランド」の底が抜けて日本で大幅な売上不振に陥るモデルが登場するようになってきています。アウディはコンパクトカーやSUV中心でVWと共通のモデルばかりが発売されるようになり、深刻な販売不振に陥っています。ベース車のゴルフによって性能が担保されたA3とA3セダンの売れ行きはWCOTY獲得車とは思えないほどに低調です。しかしそれ以上に深刻なのはゴルフやアクセラよりも総合力で劣るという評価が付いているBMW1シリーズです。日産やレクサスに抜かされるのはわかりますが、VWマツダといった大衆ブランドのカテゴリーにわざわざ参入していって、ろくにクルマに開発費をかけずに惨敗するという無様なBMWを見たくはなかったです。

  まあ乗り心地なんて基本的には主観的な評価に過ぎないので、1シリーズが絶対的に負けているとは思いませんが、しかしBMWが片手間に小型車市場に首を突っ込んでブランド力だけでゴリ押ししようとする下衆な姿勢が、BMWのブランド価値を徐々に破壊し、いよいよ2014年の段階で底が抜けてしまったと言っていいと思います。従来のBMWに向けられていた視線は、「BMWアルピナ」や「BMW M」へと矛先を変えることで、ある程度は納得ができるのですが、もはや死に体となったべースブランドは、SUVとEVを売るだけの実用車ブランドとして立て直してほしいと思います。

  

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↓専門誌の扱いを見てると「M」「アルピナ」以外は不要か?って思ってしまいます。