欧州市場や日本市場が縮小して中国市場が拡大している自動車業界ですが、各メーカーのフラッグシップ車は現状での最大市場である北米に照準を合わせています。これらのクルマ(当然高級車です)は、日本人の感覚からいくとだいぶデザインの好みが違うのだなと感じます。トヨタのカムリHVは日本仕様と北米仕様では別のクルマというくらい印象が違います(日本仕様にやや近いロシア仕様もあります)。今回発表された新型スカイラインも完全にアメリカのクルマになってしまいましたね(詳細ー別ブログ)。北米で発売されているアルティマという日産車にそっくりになってきました。ホンダのNSXもアキュラ(ホンダの北米高級ブランド)のフロントデザイン(鉄仮面とか言われてます)になってしまって、日本のスポーツカーファンは凍り付いています(ハイブリッドになることも衝撃でしたね)。
ドイツ車のデザインにはやたらと食い付く日本のユーザーも、アメリカンデザインには興味を示さないですね。シボレーコルベットなどは割と日本人にも受け入れやすいデザインなんですが、キャデラックのデザインにはちょっと及び腰です。キャデラックもそれを見越して、欧州GM(オペル)が作ったキャデラックATSというクルマを日本に投入してきましたね。まるで日本人向けにつくられた「まろやか」なキャデラック顔です。世界のトップメーカーは「日本顔」も「アメリカ顏」も分かりきった上で使い分けています。日産やホンダ(あとメルセデス、ヒュンダイ)はアメリカ直系デザインを中心の据えています(日本市場無視か?)。しかし完成度の高いデザイン、たとえばアウディなんかは、日本でもアメリカでもモテる顔を作っています。それを頑張って追いかけているのがレクサスでしょうか。レクサスはかなり頑張ってデザインを再構築していると思います。これが成功したら最高品質のトヨタ製のデザインのすぐれたプレミアムカーとして世界を制覇できるのかな。BMWとマツダも日本とアメリカの枠を超越したデザインを目指していると思います。
さて肝心の日本市場ですが、現状ではホンダ・日産・メルセデスの高級車は今後は苦戦が予想されます。やはり「アメリカンデザイン」が日本で売れることはしばらくはないでしょう。逆にアウディ、レクサス、BMW、マツダが日本市場の主役になっていくのではと思います。スバルもレガシィに関しては完全にアメリカ志向で日本市場で残っていくのはキツいのですね・・・。日産・ホンダ・スバルには高級モデルの販売戦略について考え直してほしいと思いますね。日産もホンダもこのままいけば５年後にはインフィニティ(日産の北米高級ブランド)やアキュラの左ハンドルモデルをそのまま日本に持ってきて売るようになりそうですね。コンパクトカーやミニバン、EVばかりが並ぶディーラーで細々と受注販売されそうです。
