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はてなダイアリーで書き殴っていた自動車に関する放言記事を1つのブログにまとめました。

無敵のレクサスが恐れるのは、右ハンドルのマスタング

  フォードのディーラーが俄に活気づいているようで、毎月のようにDMが届きます(BMWも多い)。中身を一応見てみるとフェイスリフト前の旧フォーカスの在庫処分はかなり進んだようで、目を惹く廉価車の欄にはフィエスタに加えて、新しく1.5Lターボになったフォーカスも入ってました! このクルマは本体価格309万円〜と強気な設定になっていて、言うまでもなく同クラスのメルセデス(298万円)やBMW(298万円)よりもちょっぴり高めで、排気量こそ違いますがゴルフ(266万円)と比べても・・・あまり売る気がないのかな?と勘ぐりたくなる価格設定なんですが、さすがにDMに掲載されている価格は「おお〜!」という気にさせるキャッチーな278万円です。

  メルセデスBMWもここ数年は、値引きが結構スゴいことになっているので、実際にディーラーに行けばもっとドカっと引いてくれるとは思います。あくまで複数の知人から聞いた話をまとめた感じだと、トヨタ・オーリス1.2Lターボの本体価格である「259万円」もしくは新型プリウスの「242万円」前後が各ブランドの主力Cセグ車の実勢価格になっているようです。あまり派手ではないけど、代表的な輸入車として手堅く人気があったゴルフが、諸般の事情で日本での販売が下火となっていて、この価格帯のCセグ車でゴルフが持っていた年間1〜2万台の国内シェアを奪取するのはどのクルマになるのか興味深いですね。個人的には、このフォーカスはなかなかいいんじゃないの・・・という気がしますけども、ゴルフから移ってくるユーザーの視界にはドイツ車かトヨタしかないかもしれません。

  フォード車が日本市場で売れない理由の一つが、アメリカンサイズそのままで輸入されていることだと思います。最も大きいSUVとなる「エクスプローラ」は全長×全幅が5m×2mという非常に大雑把な設計です。ライバルのジープ・グランドチェロキーはこれに比べると全長全幅ともにそれぞれいくらか小さくなっていて、実際の購入者心理には少なくない影響を与えると思います(さすがに全幅2mは・・・)。それでもこの2015年モデルを皮切りにフォードの各モデルは内装の質感が大幅にブラッシュアップされていて、3列SUVエクスプローラも、いよいよ日本でも価格の割に相当な台数が出る「特大ファミリーカー」のジャンルで日本車と価格競争ができるほどの実力を付けてきました(400万円台は魅力!)。あとはこのクルマが一般にどれだけ「クール」なのかが認知され、フォードのディーラー網がもっと整備されてくれば(これ以上どうなる気配もないけど)、アルファードやレクサスRXを相手にかなりいい勝負ができそうです(そんなに簡単ではないでしょうけど・・・)。

  そんでもってフォードのDMの隅っこにちょこっと書いてあったのが、「マスタング右ハンドル! さらにV8モデル追加! 直4ターボにはコンバーチブルも設定! 早期予約受付中!2016年夏発売」 まあ以前から予告されてきた内容ではあるのですが、限定モデルの日本販売が思いのほかに好調だったことで、当初の予定通りに無事にカタログモデル化へと移行するようです。日本と同じ右ハンドルが供給されるイギリスではV8モデル(417ps)が、BMWのM235iよりもいくらか安い価格に設定されています。これはなかなかインパクトがある数字ではないでしょうか。M235iの日本価格はAT車で627万円(実勢価格は500万円以下だとか!)でイギリスとほぼ同じですから、マスタングV8は600万円を切る価格になりそうです。

  BMWのバルブトロニックと直噴で武装された価値ある「ストレート6」と、アメ車のピックアップトラック用の「V8自然吸気(OHV/SOHC)」を比較するなんてバカバカしい!とBMW派から批判されそうですけどね・・。しか〜し!!!今回のマスタングに使用される5LのV8自然吸気はDOHC化されていて可変バルブタイミングもちゃんと組み込まれているそうで、さながらレクサスRC-Fが使うV8自然吸気に近い設計ですから、ツインスクロールターボで320psそこそこのBMW直6が相手ならば完全に上位といっていいかもしれませんよ(レクサスは直噴インジェクターとプラグを併用するハイテクですが)。RC-F(1000万円)、GS-F(1100万円)という価格を設定しているレクサスに対して、エンジンでも車格でもほぼひけをとらないV8マスタングが600万円以下で発売!ということになれば・・・クルマ好きならとりあえず無視できないはずです。

  「RC-F」はたしかに魅力的だけど、ベース車のRCのユーザーはやたらと年寄りが多いよな・・・。せっかくのレクサスの2ドアなんですけどね、なんとなく夢中になれないという人は結構いるんじゃないですか。それを言ったらマスタングだって、ちょっと正体不明なヤンチャなオッサン風情やらたと人気ですけどね。V8が500万円だった先代のマスタングはいくらなんでも内装が安っぽかった! アメリカでベースのV6車を2万ドルで売ると決めてコスト管理しているわけですからこれはまったく仕方ないことですし、価格を抑えたことで観光地でのレンタカーの需要は相当に高かったみたいです。2005年の発売当初は載せてるV8にも全く予算が回せずに、GMクライスラーでおなじみのピックアップトラック用の「ザ・アメリカン」なOHVに近いSOHCカムのままの「業務用エンジン」でしたから、これでは欧州的なAMGアストンマーティンBMWの高回転まで回るV8とは全くの別物で「所詮はアメ車」とバカにされたりもしました・・・。

  先代マスタングのはあくまで「北米用」でした。当時はフォード傘下にジャガーボルボもありましたから、グループの考えではマスタングを欧州で展開するという発想は無かったようです。しかし傘下の欧州ブランドをことごとく手放して身軽になり、規制などもなくなったことで新型マスタングは新たに欧州仕様として大胆に開発されたようです。今でもアストンマーティンのV12エンジンの製造を請け負っているフォードですから、欧州にコスワースというF1用のエンジンも開発していた拠点もあるので、その気になればフェラーリAMGに十分に対抗できる「ファクトリー・エンジン」だって組むことは容易いです。多少はフォードの量販エンジンのマテリアルを流用するなどしてコストダウンは図ったようですが、先代マスタングをベースにしたコンプリート・スポーツモデル「シェルビーGT500」用に組まれた5.0Ti-VCTという型式のエンジンが、先代モデルの後期V8GTから採用されていました。新型マスタングのV8としてさらに進化したバージョンが採用されるようです。

  欧州の一流どころのGTカーに負けない足回りが配備され、欧州プレミアムのスポーツオプションとして付けられるDSC(横滑り防止装置)のマニュアル設定などももちろんできますし、直4モデルに関してはハンドリングもブレーキも全く問題水準。外装はマツダと共同出資の特殊行程が行える生産ラインで仕上げられているので、マツダの見事な塗装技術を受け継いだかのような極上の鏡面仕上(これはレクサスを越えたか!)。さらに直4の限定モデルのボデーの工作精度もレクサス以上かも? RC-Fを至近距離で見るとパーツごとに表面の質感がチグハグな印象を受けたりしますが、とりあえずじっくりとみてもマスタングの表面の統一感はすばらしいレベル!アストンマーティンV8ヴァンテージのような美しい造詣を作ってきたフォードグループの底力は侮れないです。これV8に乗ってみてRC-Fよりも良かったら買わざるを得ないですね。

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