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はてなダイアリーで書き殴っていた自動車に関する放言記事を1つのブログにまとめました。

BMW・ミニ・クロスオーバー・クーパー・ディーゼル という属性タグ

  日本車全体を「日本車」というカテゴリーに平気で押し込むことに矛盾を感じないタイプの無神経な日本人ライターが、「バイエルンの味」とか「ヴォルフスブルク流」とかドヤ顔で書いているのを見るとイラっとします。やれ一体どんなクルマなんだ?と見てみると・・・「こりゃ広東風味で腹一杯だな〜」なんて皮肉の一つでも言ってやりたくなります。いやいや悪いのは軽薄なライターであって、(ドイツ人が中国人相手に作った)クルマに罪は一切ないわけですが・・・。例えばドイツ人ジャーナリストが日本車を評して「絶品の北関東風味!」と書いて絶賛していたら、「それってどんな味?」とツッコミたくなります。

  クルマの生産地域による差を「個性」として語るならば、なんだかんだで日本車こそが断トツで尖った設計をしてます。ドイツ車の何倍も個性的なクルマ作っているんですが、日本のライターはそれらを「ガラパゴス」と称します。まともなビジネス感覚がある人ならわかると思いますが、日本には何と言っても世界最高の技術を持つ鉄鋼メーカー群とタイヤメーカー群があって自動車メーカーを力強く支えています。エンジンやトランスミッションの開発に関しても、世界を完全に牛耳るくらいに偉大な日系バイクメーカー4社(川崎、ヤマハ、ホンダ、スズキ)があって、これまでの幾多の名エンジン開発の実績は他国を大きく上回っています。30km/Lの驚異的なモード燃費を誇る非HV車なんて海外メーカーにはまず無理です。

  プリウス叩きで有名な両角とかいう評論家は、BMWのバルブトロニックを、世界初の技術!で後から日産のV6がその機構をパクったと書いてますが、2001年にBMWが発表するはるか前に、デビューした1997年のプリウスのエンジンこそがバルブトロニックのアイディアそのものだったりします。日本の評論家が日本メーカーに対して手厳しいから、日本車は世界最高の水準にあるとも言えますから、必要悪なのかもしれませんが、彼らの言葉を真に受けて、日本の技術はダメだと信じている残念な自動車ファンが多過ぎる気がします。つまらない輸入車があれこれ評されてますが、実際に乗ってみると安い輸入車は日本車を錆び付かせたような鈍い乗り味がするものばかりです。日本メーカーが作り慣れている6気筒以下のモデルならば、基本的にはドイツ車やアメリカ車に負けるわけがないです。まともな知識(知能)のある人ならば、もし輸入車を買うとするならば、とりあえず8気筒以上にしておかないと、とりあえず意味がないということがよく分っています(ちょっと極端かもしれませんが・・・)。

  そんな世界のどこにも使われていない機構をあれこれ持っている、すばらしく個性的な日本車を指して、「日本車」と一括りにしてしまう勘違いライターは2年くらい前まではたくさんいました。しかし最近では日本車にも欧州的な価値観を際立たせたクルマが増えるといった”質的変化”が起こったこともあり、「日本車とは全然違うレベルの安定性!」みたいな幼稚な表現はあまり見かけなくなりました。世界のカーメディアの評価を見ても、安定性が高く、安全で、乗り心地が良い、静粛性に優れる、レスポンスに優れる、ハンドリングが良いといったクルマの評価基準で常に最高レベルにあるのは日本メーカー車です。ドイツ車やアメリカ車の中で、日本(の高性能)車の水準に達することができたならば・・・とりあえずアンビリーバボーだと絶賛されます。

  輸入車ブランドにとって、世界一の”閉塞”市場として知られる日本に進出するのは至難の技です。あのBMWですら怒濤の新車ラッシュも虚しく空振りに終わり、現在では全く勢いが感じられないほどに低迷しています。バブルが終わって20年以上が経過し、いよいよ「BMW」の威光があれば何でも売れるという時代でなくなったみたいです。そんなBMWの日本販売を支えているのが主力車種の3シリーズですが、現在ではその約7割を320dが占めていて「ディーゼル」というタグ付きのクルマが一番の売れ筋になっています。「BMW」で「セダン(3シリーズ)」で「ディーゼル」・・・と3つも魅惑のキーワード(タグ)が並んで、これまでの常識を覆す500万円という価格設定ならば、決して安くはないですがもはや割高感はかなり軽減されていて、高級輸入車だけど新車で買ってしまえ!と一思いに決断できるモデルになっています。

  そんな320dよりもさらにタグがたくさん付いているのが、「BMW」「ミニ」「クロスオーバー」「ディーゼル」です。正真正銘BMW製エンジンが載っていて、英国車ミニという日本車ではなかなか味わえない濃いテイストを持ち、Bセグクロスオーバーで欧州&日本の最先端のトレンドをしっかり抑えつつ、脱ハイオクガソリン!で罪悪感をあまり感じずにロングドライブに行けるディーゼルです。おそらく「ミニ」というテイストを最大限に評価できる人ならば、同クラスのどんなクルマよりも絶大なコスパを計算できるんじゃないでしょうか。それに「クーパー」もしくは「クーパーS」というスポーツチューンを示すタグもさらに追加されます。

  まあここまでは、「BMWミニ・クロスオーバー・クーパーD」というなかなかキャッチーなモデルが日本でも発売されるという話でしたが、この「タグ」という概念は最近の新車販売においてかなり重要な意味を持つようになってきたと感じます。とくに高額車を売るためには、かなりユーザーの心に刺さるようなタグを4~5個くらい付けて出さないと全く勝負にならない!という所まで来ているような気がします。要は「売れ線」だろ!って思うかもしれませんが、売れているクルマの真似をするだけでは不十分なケースも見られます。既にヒットしているクルマと同等のパッケージにさらに新しいタグを付けて、初めて選ばれるクルマになっています。

  逆にタグを付けようとしなかった新型車は軒並み大苦戦を強いられています。例えば日産ティアナはクルマそのものの水準が高く、真剣に吟味すれば満足できるクルマでアメリカでも日産のシェアを押し上げる原動力になっています。しかし日本で売るには「タグルール」を無視し過ぎた感があります。実際のところ日産にしてみたらアメリカと中国で売れてくれれば良い!くらいに思っているようですが、もし日本で売りたいと思うならば、例えば「ティアナNISMO」みたいなタグ付けされたグレードを企画すれば、かなり注目度は上がると思われます。「ティアナHV」を出すよりも効果があるのでは?

  トヨタは「G’s」、マツダは「Lパケ」、レクサスは「Fスポ」、スバルの場合は「アイサイト」がまだまだ有効みたいです。どのメーカーもクルマの機能をどれだけ「記号化」できるかがセールスの大きな分かれ目になっていると気がついているはずです。このタグ・ルールの最大の勝利者と考えられるのが、トヨタ86です。「スポーツ専用シャシー」「ハイチューンNA水平対抗」という強烈な2枚タグだけで勝負アリで、決してあの「漫画」の力を借りて売れたクルマではないです。そもそも筋金入りのイニDファンなら・・・”ハチロク”・RX7・シルビア・インプSTIシビックR・インテR・S2を探すはずです(そしてエボとスカGには乗らない)。その逆に新たな失敗例になりそうなのが、新型レガシィです。いよいよターボが廃止され、高級モデルで定番化すると思われた「Sパケ」も無くなってしまいました。もしやこのクルマはティアナ以上に売れないのではないですかね?


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↓ランドローバーの欺瞞・ゴルフの欺瞞・・・シリーズでもっとも痛快な第6巻です(輸入車ファンは逆上必至)。