CARDRIVEGOGO アーカイブ・ブログ

はてなダイアリーで書き殴っていた自動車に関する放言記事を1つのブログにまとめました。

BMWこそが「欧州車」・・・という時代はとっくに終わった。

  「これは軽快だな・・・」420iグランクーペMスポを試したところ、最も際立った印象がコレです。いつからBMWはこんな芸当を身につけたのでしょうか? クルマの乗り味なんてのは千差万別で肯定も否定もある程度は自在なんですけども、あのBMWにここまで素直な走りをされちゃうと思わず笑っちゃいます。ひねくれ頑固オヤジなら「無味乾燥」とか言いそうですけど、どこまでも真面目な私基準の評価では「肯定」が優位です。なんといっても乗りやすい!!!とにかく「日本車以上に日本車」なんですよ。

  トヨタ86の方がむしろステアリングの剛性の加減のせいか重厚感たっぷりです。86っていうクルマはそこら中で大人気ですけども、これまた不思議で「86」っていう独特の世界の乗り味をハッキリと持っています。「トヨタらしくない!」という意見もあるかもしれないですが、普通車に国内専売モデルをまだまだ抱えているトヨタの「ソフト」な乗り味は非常に価値のある個性だと思います。しかし「86」はそれとは全く違った「ハード」な乗り味を作り込んでいます。

  トヨタの開発者(多田さん)に言わせれば、リアルスポーツの世界観を意図的に演出したスポーツカーなんでしょうけども、私のような小市民な一般ユーザーにとっては、その「生々しい」触感は少々薄気味悪いくらいです。まるで戦闘機か戦車に乗っているような(だったらこんな乗り味だろう)、ジリジリする感覚がクルマの各部に接触している体の部位からヒシヒシと伝わってきます(マッッサージ機能付き?)。・・・いや目と耳からの情報かも?

  ピアノの音源を収録するときに、「インパクトノイズ」と呼ばれるノイズを処理することがあるそうです。打鍵時に発生する「メカ音」を除去しないと、演奏がおどろおどろしく聞こえてくるからですが、86の走りはそれと同じような「メカ起因」のザラつきが「走り」の中に組み込まれています。それに対して私が試した「420i」はそれらの小市民にとっては洗練不足と捉えかねないようなザラつきを徹底的に除去したかのようなスムーズさがあります。あまりに見事に除去しているので、走りの迫力そのものはやや不足気味です。これこそが日本車らしさの由縁です。

  同じシャシーを使っているとされるF30系320iや320dを試した時は「非BMW」的なほどに足回りのユルさで興ざめしました。その「ユルさ」は乗り心地をふんわりさせるという日本車サルーン的な効果を狙っているのはもちろんでしょうけども、アクセルフィールをあまりキビキビさせないことで、燃費自慢のステップATとして知られる「ZF・8HP」の唯一の欠点である初動の悪さを、適度にカモフラージュするという意味があるのだと思います。

  320i/320dがトヨタ/スバル的な仕上げなのに対して、420iMスポは日産/マツダ/ホンダ的です。320iと420iの2台で日本車ばかり乗っているアホ国民をごっそりと取り込もう!という戦略なのでしょうね。ただし420iMスポはレスポンスが向上した反動かもしれないですが、出足がちょっとばかりダメです。直4ターボの立ち上がりの回転数を制御するコンピュータが数秒の間、思考停止になったのか?と感じるような「間」があります。こんなミッションではとてもコンマ1秒を争うM3/M4には使えないですから、わざわざゲトラグからDCTを買うのも納得できます。

  ミッションに関しては完全に「渡り鳥」になっているのがBMWでして、いろいろな評論家がZF製8ATを絶賛していますけども、実際試してみると「ふーん」ってちょっとガッカリします。もちろんひと昔前の初動がかったるかったATに比べれば隔世の感こそありますけども、どうも「協調制御」ってヤツが好きになれません。ペダルを一定に踏んでいるのに、勝手にコンピュータがエンジン効率の優れる領域に回す・・・。

  ZFになる以前には、イメージが大きく壊れるかもしれないですが、GM/フォード連合が仕立てる縦置きATを使っていた時期もありました(E90の頃)。現在ではドイツ政府ご推奨のZFの他にトヨタとの同盟関係を尊重してかFF横置きに関してはアイシンAWを使っています。今後はZFが18年ぶりだかで仕立てた横置き用「9HP」に置き変わる可能性もあるのかも。

  レクサスもFスポになると自慢のアイシンAW縦置き用8ATでも少々シャクったりしますから、ZFとアイシンAWにそれほど技術的な差はないようです。もともとレクサスLS用として開発され穏やかな走りを前提としたミッションですから、レスポンスを鋭くするとややボロが出るようです。アイシンAIというMTが専門のトヨタ傘下サプライヤーにはLFA用に開発されたDCTがあるので、多少コストダウンしてでもレクサスの中の特にスポーティなモデルには搭載してみてはどうでしょうか?

  時代が求めているクルマとは?そしてクルマがヒットするかどうかの分岐点は? BMWやレクサスくらいの価格帯のクルマになると、それは「燃費」でも「加速」でもなく、なんだかんだで「乗りやすさ」と「デザイン」この2点なのだと思いますね・・・。「選ばれる乗りやすさ」と「選ばれるデザイン」これをトヨタ(レクサス)、日産、ホンダ、マツダ、スバル、BMWメルセデスアウディボルボがお互いにライバルを研究しながらクオリティカーのマーケティングを形成しています。乗りにくさが売りだったマツダ、スバル、BMWがすっかり取り込まれている!!! 

  そんな「日本的な乗り味」とは一線を画す「欧州車らしさ」を求めるならば「アストンマーティン」「ポルシェ」「ルノースポール」「ロータス」あたりのMTモデルなんでしょうね・・・。


リンク・最新投稿まとめブログ