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はてなダイアリーで書き殴っていた自動車に関する放言記事を1つのブログにまとめました。

シトロエンDSはBMWミニのパクリではない!

  某雑誌を読んでいたら、シトロエンのDSシリーズはBMWミニのアイディアをそっくり拝借している!なんてなかなか悩ましい説明がなされていました。確かに輸入車ブランドの持つ独特のDNAみたいなものを理解させる上で、有用性の高い表現だとは思いますが、シトロエンファンからは強烈な反論が出てきそうです。ミニにしろDSラインにしろ日本メーカーではなかなか見られない「世界観」を持ったブランド構築という意味では、パクリいや同じようなアイディアに基づいているのは確かだと思います。

  日本でも人気のあるBMWミニは単体で月間1000台を売り上げていて、日本市場で月1000台以上を売り上げる15ブランド(国内9輸入6)の1つに数えられます。ミニと並んで欧州テイストの個性的な小型車を日本でも展開するフィアット「500(チンク)シリーズ」はフィアット全体でもせいぜい400~500台程度に過ぎないので、ミニに大きく差をつけられています。やはりBMW×ミニのダブルブランドネームの日本での神通力は絶大で、加えてフィアットなどのイタリア車は”風評被害”といっていいほどに、あらゆる面でクルマの信頼性がドイツ車や日本車の水準を下回ると一般に思われていて初心者には手を出しにくいことを考えると、チンクシリーズもなかなか健闘していると言うべきかもしれません。

  一方でシトロエンですが、日本での販売は大半がDSシリーズですが、ブランド全体で月100~200台程度です。最廉価モデルを比べると200万円前半で買えるミニとチンクに対し、300万円越えは避けられないDSシリーズの価格設定も裏目に出ているかもしれません。300万円あればメルセデスBMWの程度の良い中古車が手に入りますし、国産車であれば輸入車を寄せ付けないくらいに高品質な上位グレードのクルマが新車で買えます。もっともシトロエンとしてはそういう不毛なコスパ比較ではなく、DSシリーズが持つ「世界観」に共感した人だけ買ってくれれば良いと考えているのかもしれません。

  ミニやチンクは元々はイギリス、イタリアの労働者階級の為の大衆ブランド車としての長い歴史があり、そのブランドヒストリーを商品力に込める「ストーリー型ブランド戦略」を軸に世界で展開しています。ミニの場合はローバーの経営破綻のあと、BMWが熱心にブランドの存続を図ってグローバルブランドとしてさらに知れ渡るようになりました。ちょうどドイツやスイスの18世紀に起こった古い腕時計の名工ブランドを1980~90年代に大ブランド資本の尽力によって復興させるのに似ています。BMW傘下になって3度目のFMCを迎えたミニですが、BMWの見事な采配により内外装デザインや独特の乗り味を損なうことなく、現代のプレミアムBセグに要求される高い水準を見事にクリアしていると専らの評判です。

  シトロエンDSがBMWミニの手法をパクっている!という発言が、シトロエンに対する冒涜だと感じる点として、BMWミニは根本的なコンセプトの段階でガチガチのミニらしさが要求されて、それに素直に応えていくことが使命なのですが、シトロエンDSは1955年の「DS」発売以来一貫して、時代の最先端を寸分違わずに突き進むことを、シトロエン自らが課した高い理想によってアイデンティティが確立されています。つまり同時代で最高にカッコいいクルマ=「DSシリーズ」というフランス人の国民性を象徴したようなブランドと言えます。故シャルル=ド・ゴール大統領が大統領専用車として愛用したという事実はフランス人以外にはあまり重みはないかもしれないですが、その名車の系譜を現代に再興するというコンセプトのDSシリーズを「ミニのパクリ!」と断言する知性のかけらもない東洋の島国の横暴にフランス国民は憤慨するでしょう。日本のお隣の国のライターに「ランクルパジェロジープのパクリ!」と言われたら、それが事実だとしても反論したくなりますよね。

  さて今月に開催されるパリ・サロンでDSシリーズの新しいコンセプトカーが出品されるそうです。市販予定はまだ無いようですが、シトロエンが敢えて「DS」を冠して発表するということで、暗黙の内に「世界で最もカッコいい2ドアクーペです!」という絶大なる自信があることが伺えます。この「DIVINE DS」はアルファロメオの絶版となった超絶デザインを纏った3ドアクーペの「アルファ・ブレラ」を彷彿させるデザインのCセグHBスタイルで、外装の見事さもさることながら、内装はファッションブランドとのコラボで生まれた、皮素材によるこれまでに無い大胆な内張りと斬新なコクピットデザインが冴え渡っています。果たして例のライターはこれを見せられても、まだミニのパクリという「どや顔」の持論を展開するのでしょうか? PSAは中国市場向けにプジョーシトロエン両チャンネルから続々と「新感覚」の中型スペシャルティカー・コンセプトを発表しています。とりあえず試験販売で日本に持ってきたらアウディやミニに群がるミーハー客を全部ゲット出来そうな感じですが・・・。ぜひ日本でのDS4やエグザルトの市販を期待したいです。

  
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