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はてなダイアリーで書き殴っていた自動車に関する放言記事を1つのブログにまとめました。

BMW2シリーズ・アクティブツアラーは、輸入車好きの幻想を吹き飛ばす?

 低俗自動車雑誌として知られる「ベストカー」の読者投稿欄で、ここのところなんだか「自演」ぽいキナ臭さが漂っています。事の起こりは7月10日発売の号で、何が気に入らないのかスズキ・ハスラーのデザインを頭ごなしにディスる投稿が掲載されたことです。業界ナンバー1を自認する「ベストカー」ですから、編集部には全国の暇人からもの凄い数の投稿が寄せられていると思いますが、その中から51歳の分別ある大人の意見とは思えないような、「ハスラーに群がる日本人の美意識は地に落ちた!」というハードボイルドなテロリズムが日本が誇る“善良メーカー”スズキに向けられました。

  無数に寄せられる投稿の中には、そのような特定メーカーに対する「ネガティブキャンペーン」のようなものも相当にあると思います。しかし選んで誌面に掲載している以上はベストカー編集部は意図を持って「スズキ車への批判」のニュアンスを世間に発信しようとしたのは間違いないわけです。ジムニーとともに軽自動車ながらSUV売上ランキングにも顔を出し、増税後に増産体制を整えるという余裕っぷりで7月の月販が約14,000台!ホンダのヴェゼルとともにSUVのトレンドを完全にひっくり返す大活躍のハスラーに対してフラストレーションが溜まっていたのでしょうか。増税後も売れ続ける軽自動車・・・去年のホンダの躍進に続き、今年は日産デイズが凄いことになってます。自動車雑誌という立場上、下手にメーカーに向けての苦言が吐けない「ベストカー」は読者のお便りを使って意志表示といったところでしょうか。

  最初は「軽自動車ばっかり売れるのは困る・・・」という軽い気持ちだったのかもしれないですが、当然のようにこの掲載はかなりの反響(反発)を呼びます。まあ読みながら「激しく同意!」とか思っちゃう人も結構いたかもしれないですね。大変失礼ですが、ベースグレードは本体価格108万円という国民生活を第一に考えたクルマに対してデザインが納得できないからと「あーでもない、こーでもない」と嗤う神経がいまいち理解できません。街中でたくさん見かける軽バンを指して「日本車ってダサいね・・・」とか言っちゃう頭弱い人(失礼!)と同じ思考回路だなと思うわけです。

  日本車だろうが、欧州車だろうが、アメリカ車だろうが、生活を支えるためにリーズナブルに作られたモデルというのは、あらゆる年代の人が使えるようにデザインは薄味なものになってしまうのは共通のことです。実際に欧州のリーズナブル車にあたるVW・up!が以前に日本に導入されましたが、あまりのデザインの酷さに今では全くと言っていいほど話題にもならなくなりました。このVWの失敗により、欧州フォードの「KA」などのコンパクトカーや「B-MAX」「C-MAX」といったプチバンが後に続いて日本に入ってくることはなさそうです。VWも欧州フォードも欧州市場最大級のブランドとしての責任を全うすべく、欧州版のトヨタ、ホンダといったデザインのクルマが多いです。デザインを評するならば、無駄にお金がかかる上級モデルについてのみ言及するのが正しい姿勢だと思います。

  しかしちょっと厄介なことにドイツの一流プレミアムブランドのメルセデスはすでに「Bクラス」という実用性重視のMPV(プチバンのちょっと大きめ)を日本に持ち込んでいます。いくらプレミアムブランドとは言え、あのクルマを見たら「メルセデスのデザインはどうなってんの?」という怪訝な気持ちにもなると思います。そして300万円を軽く超えるならもっとデザイン頑張ってほしいな!と率直に感じますし、最も使いやすいメルセデスかも知れないですが、”美意識の高い”日本では全く人気になっていません(世界でも売れてません)。え?Bクラスを買わないくらいに美意識が高い日本人と、ハスラーに群がる日本人は全く別の人種だって?まあそうかもしれませんが・・・少なくともハスラー嫌いさんが言う「日本人の美意識云々」の件はオカシイですよね。

  そして似たようなプレミアムMPVBMWからも間もなく発売されるようです。こちらもさすがはドイツメーカー!独創性ゼロ!といった完全にライバルありきの設計です(Bクラスのパクリ)。少なくともフィアット、PSA、ルノーならばもっと自由な設計をすると思います・・・ホンダ・ヴェゼルなんてMPVを都市型SUVと解釈してグローバルで売り出し中です。それでもまあ、需要があるジャンルのクルマを、基本に忠実にきっちり作り込んで提供するというドイツメーカーのクソ真面目なスタンスがたまらなく好きという意見は、日本人にはそれなりに良くわかり合える点ではあると思います。BMWとしてもミニブランドでそれなりに実績を積んでいるので、FFのMPVは門外漢ではない!という自負があるでしょうし、それなりに納得出来る点が詰め込まれて、218dが日本でも発売されればBMW内でも屈指の好パッケージ車になる可能性すらあります。

  それでも従来のBMW贔屓の人々の視点からは、そのスタイリングは受け入れ難いものがあるかもしれません。BMWアウディメルセデスのような過度のブランドの安売りには否定的で、セダン、クーペ、コンバーティブルの他にあくまで高級車の文脈の中でハッチバックSUVといったラインナップの追加をしてきました。しかし今回のBMW2シリーズ・アクティブツアラーは「実用車」の設計からくる”非BMW的”な軽薄感をブランドイメージで覆い隠せていないです。このクルマがバカ売れして、BMWの日本での販売の半数を占めるようになったら、ハスラーを批判した51歳の言う「日本人の美意識は地に落ちた!」が少しは当てはまるのかもしれません。

  8月26日発売の「ベストカー」最新号には、この51歳に対して怒り心頭の反論投稿が掲載されました。「ベストカー」が一体何を狙っているのかよくわかりませんが、なんだか載せないといけないような雰囲気がプンプンする“熱い”投稿です。それでも軽自動車のデザイン云々で自動車専門誌に対して”熱い”投稿をする滑稽さは、ハスラー嫌いの51歳よりもさらにぶっ飛んでいます。デザインという極めて主観的な点でハスラーを毛嫌いしている相手にいくら「正論」ぶったところで相手の人間性を否定するだけですし、ここはシンプルに「マセラティにでも乗っとけ!」と言ってあげればいいんじゃないかと思うわけです。マセラティみたいなブランドに乗っていれば、ハスラーなんて眼中にないでしょうし、ハスラーの意義もよくわかるんじゃないですかね。(上から目線でごめんなさい)



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