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はてなダイアリーで書き殴っていた自動車に関する放言記事を1つのブログにまとめました。

メルセデス 究極のブランド宣伝法!

  メルセデスCLAが日本では大人気のようで、多くのバックオーダーを抱えているようです。「メルセデス、3BOX、格安」と三拍子揃うとまだまだその魅力は十分に日本市場で通用するのかと驚かされます。クラウンやスカイラインよりも安いとなると、今回はこちらにしてみようかという気が起こるのも無理もないですね。メルセデスは低価格のラインナップの拡充を進めてしますが、それらのモデルをわかりやすいデザインで包むという「努力」が特徴的です。

  これからはデザインの時代だと言われていますが、デザインの良し悪しも単純に序列化されるものではなく、どういう意図を持ったデザインであるかによってその価値は変わるものです。メルセデスは新たにAクラスとCLAクラスを追加するに当たって、ちょっと言葉が悪いですが「オモチャ」的なデザインを意図したといえます。フロントマスクはメルセデスの顔でそれ以外の面をどう仕上げるかが腕の見せ所ですが、まるでオモチャのように大胆に切り込んでそれで万事OKとした潔さが、成功の理由の1つだと思います。

  これは非常にレベルが高いブランド戦略で、トヨタがこれと同じように「オモチャ」的なデザインでクルマを作っても、そう上手くはいかないはずです(どうなるかはわかりませんが・・・)。とりあえずメルセデスは自ブランドの持つ「華麗なイメージ」を見事に記号化し、クルマのデザインへと転化させたものが「Aクラス」や「CLAクラス」のエッジの利いたボディラインと言えます。

  デザインには非常に意図を感じるのですが、クルマの中身となると一転してメルセデスが真剣にやったとはとても思えないのです。しかしあくまでこれは「オモチャ」ですから、載っているエンジンなんて軽自動車のものでも十分なわけです。どんな走りをしようとも、メーカーバッジが付き、メルセデスの象徴的なグリルを据え、サイドに派手なカッティングを入れれば、誰が見ても「メルセデス」と読めるわけです。

  子供のころに持っていたミニカー。この小さな存在が子供心の中に入り込んで、そのクルマを特別の存在にしていくこともあるでしょう。それと同じように、「Aクラス」や「CLAクラス」を手にしたユーザーの心の中には、同じメーカーバッジと同じデザインのグリルが付いた、メルセデスの主力モデルに対しての強い憧れを芽生えさせるでしょう。新型Aクラスの発売に当たって、メルセデスは公式に「若いユーザー層を獲得することがこのクルマの目的」と包み隠さず発表しています。

  この発言に付随して、このクルマは「Aクラス」のユーザーを獲得するためではなく、「メルセデス」のユーザーを獲得するためのものと明確に宣言しています。つまり新型Aクラスはメルセデスのラインナップとして開発されたわけではなく、「メルセデス」ブランドの記号を彫り込んだクルマの形をしたオモチャとしてブランドの販促用に開発された「似非メルセデス」なのです。多くの評論家が発売から時間が経った後に、掌を返すようにこのクルマの批判を始めてしますが、いやちょっと待って!これはメルセデスの考えでは、オモチャであってクルマではないのです、まともに批判をする方が間違いなのだということに気がつきます。いやはやメルセデスの遠慮深謀は恐ろしいですね・・・。


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