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はてなダイアリーで書き殴っていた自動車に関する放言記事を1つのブログにまとめました。

プレミアムカーじゃ「絶望」は救えない・・・

  マツダもスバルも日産も「我々は今後プレミアム路線を目指します」なんて呑気なことを言っている。このメッセージでファンが一気に増えると勘違いしているようだが、ハッキリ言って思い違いも甚だしい。確かにこの3社のクルマを開発する力は世界トップレベルの水準だ。その実力に疑いの余地はないし、高性能なクルマをリーズナブルな価格で提供してきた実績は高く評価される。これだけの技術なのだから、いくらで売ろうが完全にメーカーの自由だし、自信があるならいくらだって値上げすればよいと思う。

  ただそれとは別に、一般ユーザーへ向けて「我々は、プレミアムブランドだ」と発信する必要があるとは思えない。それでもやると言う事は、結局は消費者の持つ「知性」をまったく信頼していないことの現れと言える。要するにメーカーは欲求不満なのだ。こんなにいいクルマを作っているのだからもっと買ってくれ!と・・・。いやいや待ってくれ、日産、スバル、マツダいずれも熱心なファンに支えられてここまでやってきたじゃないですか。ローバーとかサーブのように消えてなくなったメーカーもたくさんあるのに(復活の動きはあるようですが・・・)。これまでどれだけファンがこの3社の「自己満足」でしかない変態チックなクルマに財力が続く限り尽くしてきたか分かっているのか?

  この3社は1990年代の終焉とともに地獄を見てきました。自動車会社は市場に裏切られたという思いに「絶望」したでしょうし、ちょっと語弊があるかもしれませんが自動車ファンも2002年以降に発売されたクルマのあまりのくだらなさに「絶望」しました。その2つの「絶望」をさらに不況とゼロ成長の社会が、さらに根深いものへと変えました。もはや誰の目にも解決は不可能だと思われましたし、お互いに完全に諦めていた部分もあったと思います。そんな閉塞感をなんとか打ち破りたいという動きもありましたが、例えば日産GTRの登場で日産とそのファンはどれだけ救われたのでしょうか? 

  「プレミアムカーでは絶望は救えない・・・」。 海外市場の拡大で今なお右肩上がりの3社と、日本市場でいまもなおこの3社に大きく期待を寄せるファンの間には、大きな溝があるように思います。先日も日産の新型スカイラインがターゲットとする顧客のイメージが公開され「外資系管理職の40代前半くらいで年収は・・・」といったシビアな内容にネットを中心に大反響がありました。特に「他の職業の人は買ってはダメなのか?」という怒りの感想が多数だったようです。

  もしかしたらこれを見て買いたい気持ちが冷めた人も相当にいるのではないでしょうか。外資系管理職のようなコスト管理のプロが喜んで買うくらいにこのスカイラインの品質やコスパは素晴らしいと言いたい日産の意図は分からないでもないですが、もう少しマシな表現があったのではないでしょうか? スカイラインが転けたら完全にこの「イメージ」が失敗の原因になるでしょう。

  マツダもスバルも似たようなものかもしれません。マツダの鼓動デザインは確かにスタイリッシュですが、同時に「成金主義」な匂いを感じさせます。実際のところ、まともな感性があれば、安易な購入には躊躇したくなるレベルに「匂い」ます。気がつけば月販ベースでFMC間近のスバル・レガシィに販売台数で負けています。食い付く人もいましたが、それと同時に拒否反応を示す人も多いはずで、それが数字に表れたのでしょうか。スバルも東京MS直前に発売を明かしたレヴォーグに相当の自信を見せているようですが、欧州プレミアムブランドに完全に被れたようなスペックに少なからず違和感を感じるのと、実質的な値上げを伴っていることなどから、期待していたほどの受注が取れていないようです。200万円を超えるヴェゼルハリアーが1ヶ月で1万5千台くらい受注するのに比べれば、だいぶ低い数字になっています。

  自動車メーカーは金を持っている人々が買ってくれればそれでいいと思ってブランディングをすると思いますが、もはや「プレミアムカー」だから買うみたいな幼稚な発想の人はお金持ちにはむしろ少ない気がします。そんな余計なブランディングをする成り上がりメーカーのクルマを買うくらいなら軽自動車でいい。そういう時代です。投資などで利益を挙げていてタワーマンションに住む知り合いは、かなりの割合で軽自動車を愛用しています。中国でやるようなブランディングでは東京ではおそらく成功しないでしょうね・・・。


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