CARDRIVEGOGO アーカイブ・ブログ

はてなダイアリーで書き殴っていた自動車に関する放言記事を1つのブログにまとめました。

VWゴルフを買う前に考えること

  日本カーオブザイヤーを強奪することに成功したVWゴルフ。全員の審査員が無視しなかった(0点を付けなかった)ということは、プロの批評家の誰一人としてこのクルマを批判できないほどに、技術的な裏付けがあったのだと思います。最終ノミネートの5台の輸入車に、ミニやフィアットパンダなど明らかに実力不足のものが含まれていた上、1台がボルボV40という同クラスのやや評価の劣るクルマだったことから、ゴルフが得点対象から外されることは実質的に無かったようです。

  一方で日本車5台はまるで異種格闘技戦の様相を呈していて、Sクラスと4台のコンパクトカーの布陣の輸入車と比較すると、日本メーカーがいかにクルマの未来を考えているかがよくわかる陣容になっています。もし私が選考委員ならば「アテンザ」「アウトランダーPHEV」「フィット」「スバルXV」の4台には得点を入れたかったですね。どの選考委員も日本車は2ないしは3台で選んでいるようで、多くはハイブリッドの仕上がりがまだまだと言われるXVに0点を付けていました。このクルマこそが日本車の明るい未来な気がするのですが・・・。

  岡崎五郎氏と小沢コージ氏という著名な2人がフィットに0点を付けていましたが、他の全員はフィットを選択。もう1〜2台の日本車をアテンザアウトランダー、そしてクラウンも無視できずにこの3台が激しい潰し合いを演じました。ゴルフにとって幸いだったのが、日本車のエースが格下のフィットだったことで、これで難なく多くの選考委員から10点をゲットすることに成功しました。日本車の小型枠を独占したフィットに対して、潰し合った中型3台の得点が伸びないのもまあ納得ですね。VWのロビー活動うんぬんよりもゴルフは組み合わせに恵まれたといえます。

  もちろん選考の背景には、歴代ゴルフの健闘によりゴルフ・ファミリーが日本市場に浸透し、車体のタイプもエンジンのヴァリエーションも日本車とは比較にならないほどたくさん展開していて、ブランドラインナップのどこかには、ニーズにピッタリのゴルフが見つかるというユーザー本位な開発姿勢なども高く評価されているのだと思います。この手のクルマは批評家にとってもどこかに不満を解消するグレードが存在する確率が高いわけですから、自然と好感度が上がるのでしょう。日本メーカーにもぜひに見習ってほしいところではあります。

  ゴルフ・ファミリーに対抗しうる日本の中型車シリーズとして、スバルのインプレッサ・ファミリーとマツダアクセラ・ファミリー、そしてちょっと異端的存在ですが、今後トヨタが会社を挙げて育てていくと宣言している86・ファミリーがあります。ノンプレミアムの中型車の展開は今後はこの4大ファミリーが販売の軸になっていくと思います。いずれも軽やミニバンを押しのけて販売ランキングの上位に顔を出すだけのポテンシャルを持っています。クルマ雑誌ではVWの工法の先進性ばかりが言われていますが、真に魅力的なクルマを作るアイディア力では日本の3ファミリーがゴルフを上回っている気がします。いずれのファミリーもメーカーが最優先で注力しているので展開も早いですし、絶対に負けられないという気迫を4社からそれぞれ感じますね。