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はてなダイアリーで書き殴っていた自動車に関する放言記事を1つのブログにまとめました。

頭で考えてクルマを選ぶ 「高出力4WD」

  「クルマを選ぶ時は、とにかく試乗するべきだ」という人は多いが、それは本当に正しいのか?
  
  そんなに確信があるわけではないのですが、クルマ選びは結局は試乗ではなく、頭を使って考えてそのクルマの長所と短所を的確に知る事が一番大切なことなのではないかと思います。全ての市販車には多かれ少なかれ明確な欠点があります。例えば駆動方式一つとっても、RWDは低μ路に弱いだとか、AWDは燃費が悪いとか、FWDはトルクステアが起こりやすいなどなど・・・。それでもその欠点がそれぞれある駆動方式に何を組み合わせると、クルマとしてのバランスが良くなるかを考えたとき、良いクルマが選べる気がします。

  例えば「メルセデスA45AMG」を想像するとします。360馬力のエンジンで4WDだと、高速で旋回すると前輪と後輪の進行方向に角度が付くため、車体が300馬力超の仕事量で「ねじられ」ます。当然メルセデスのベースグレードのAクラスの車体強度では持ち堪えられないので、それなりの補強はしているとは思います。もしかしたらそのサイズの小ささゆえに、上級クラスの車体より剛性が高いかもしれません。それでもコーナーを抜けるたびに車体に強烈なねじれの力が加わっているので、車体の劣化が早いのではないかと推測できます。

  300馬力超で4WDのクルマは、魅力的なスペックに見えますが、常にこうした「消耗」と戦わなければなりません。GT-RやインプSTIランエボなど日本車にはこのカテゴリーで世界的な名車が多いですが、いずれもコストを十分にかけて車体剛性も高めること、つまり重量を大きく増やすことで対応しています。結果的に「燃費」は最悪の数字になります(ターボエンジンではなく重量で燃費が悪くなっている)。4WDの名門アウディの看板車種「TT」はゴルフを軽量化した設計なので重量増を嫌い、結果的に200馬力台に留めたクルマ作りをしていたりします。

  今、ホンダなどが取り組んでいるHVの高出力4WDとなると、バッテリーを積んで重量がかさむ上に車体剛性を上げるなければいけないので、そこに3.7LのV6エンジンを持ち込んで、さらに適切な数の駆動用モーターを載せるとなると、そのパッケージングが「至難の技」なのがなんとなくわかります。その設計で登場すると言われる新型レジェンドはどんなクルマになるのでしょうか? 

  ホンダは「HVの4WD」では車体剛性十分に確保できないと予想されるので、4WS(4輪操舵)を導入すると噂されてます。4WSは600馬力超を想定して作られている日産スカイラインでオプションで採用されている機構です。おそらく日産もホンダもこのシステムの採用の狙いは、旋回性能の向上などではなく、高出力4WDの強烈な「ねじれ」の力から車体の劣化を守るためなのではないかと思います。実際どれだけ軽減できるかはわかりません(効果はないかもしれません)が、旋回にかかる時間を短縮することに主眼を置くならば意味はありそうな気がします。

  あくまでも、素人が考えただけなのでメーカーの人は真っ赤な顔して否定するかもしれませんが・・・。ただ近年の工業製品ってちょっと考えれば誰にでも分かるような「欠点」が平気にあったりして、メーカーも苦しい言い訳・・・ということが多いです。なので識者の意見を鵜呑みにせず自分の理屈で考えればいいのではという気がします。

メルセデスが小型車を猛烈にプッシュしていて、だいぶイメージが変わりつつありますね。どうやら本気で日本のクオリティカーを根絶やしにするつもりのようです・・・